好投手、ハイレベルな野手を次々と輩出。名門・山梨学院の超実戦的な練習
22年度、大きく躍進を期待される学校がある。それは山梨学院(山梨)ではないだろうか。
昨秋の県大会では49得点5失点と圧巻の打撃内容で頂点に立ち、関東大会では4試合37得点と全国トップクラスの強力打線であることを証明した。その練習は実にハイレベル。今回は施設も合わせて紹介しながら、山梨学院の魅力について迫っていきたい。
砂田グラウンド内の施設は大学、社会人の施設に匹敵
鈴木 斗偉、榎谷 礼央
山梨学院の野球部グラウンド「[stadium]砂田球場[/stadium]」は、山梨県甲府市砂田町に所在し、グラウンドには寮が2つある。一塁側に設置されている雨天練習場の横の長さは右翼から本塁近くまであり、名門大学野球部や社会人チームに匹敵する。打撃練習、ブルペンもあり、雨天時でも、しっかりと練習ができる。
寮に近いので、いつでも夜間練習ができる。取材日も選手たちが夜間練習を行っていた。高校の野球部としてはトップレベルの環境にひかれて入学した選手も多い。
「進路や、設備や指導者などが凄くて、山梨学院に行けば甲子園に出られると思い、決めました」(榎谷 礼央投手=2年)
「施設がすごく良くて、寮からグラウンドが近いので、自主練がすぐできる環境であったり、レベルアップができると思い、選びました」(鈴木 斗偉内野手=2年)
山梨学院に入学する選手たちは甲子園に行きたい気持ちはもちろん、卒業後にプロまたは大学でプレーしたいと願う選手が多い。彼らに共通するのは「上昇志向の強さ」。自分を高められる環境が高校進学のポイントになる。山梨学院は中学生のニーズに合う環境となっている。
卒業後、多くの選手が各大学でプレーしている例を見れば、選手たちの思いを叶えるチームであることも確かだ。山梨学院の選手たちは普段の練習から「確かな実力」をつけている。その内容はかなり実戦的で、「意識高くやれば、必ずうまくなる」と思わせる。
「メニューは豊富も選手が主体的に取り組めるのが強み」
ジャンピングスローの様子(山梨学院)
キャッチボールから実戦を意識し、ボール回しでは、まずダイヤモンドより短い距離で投げるなど、工夫する様子が見られた。主将の相澤 秀光内野手(2年)は、この練習の意図を次のように説明する。
「夏の大会はキャッチボールのミスで負けていて、新チームに入ってから小さいボール回しだったり、とってから素早く投げたり、距離を伸ばして角度をしっかり覚えて投げるとか、ジャンピングスローとか、試合で緩い打球に対して勝負できるように、いろんな場面を想定してやっています」
ボール回しでは、通常なら受け取って、そのまま投げる方向に向かって踏み出して投げるが、山梨学院の場合、球を受け取った後、体を一回転させて投げたり、右回りしたり、左回りしたりと、いろいろ工夫をしている。
「軸をしっかり右足で回して投げることを意識しています。中継プレーで自分が待つ場所の逆側に来た時に、普通に回ったら遅いので、逆に回って投げる練習をしています」
さらに挟殺練習では、ジャンピングスローも取り入れる。さらに、右回り、左回りをしながら後ろへも投げる。すべて試合を想定しての練習だ。野球における必須ともいえる素早い中継プレーに備えて、普段のキャッチボールから実戦に即した練習ができている。
山梨学院の内野手には守備力の高い選手が多いが、こうした練習の積み重ねで成り立っているといえる。
ブルペンも特徴的で、向かい合う形で計4つもあるが、傾斜が高い。近年の野球場は傾斜が高いマウンドが増えてきた。
活躍するためには、マウンドの形状に合わせて、投げることが重要になる。エースの榎谷は投球練習の目的についてこう話した。
「傾斜を高くすることで、傾斜を使って体重移動で投げられる。(傾斜を)高くしてから体重移動が良くなって、いい練習になっています」
それだけではなく、投手の練習では、さまざまなドリルに取り組んでいた。
山梨学院ナインは、うまくなる要素が多く備わった環境のなかにいるが、選手たちの言葉からは、その恵まれた環境に甘んじることなく、選手らが主体的に取り組んでいるのが理解できた。
(取材=河嶋 宗一)