熊本市中心部にある学校から車で北へ約20分。山間に、九州学院の野球部のグラウンドがある。右翼後方にはサッカー場。左翼からセンターにかけては高いネットがそびえ立ち、後方にある一般道路と、その後方の竹藪に球が飛んでいかないように保護されているが、その昔、現ソフトバンク2軍打撃コーチの吉本 亮内野手、現西武1軍打撃コーチの高山 久外野手が、現役時代にどんどんネットを越えて、竹藪へと飛ばしていた。もちろん、21年セ・リーグMVPに輝いた本塁打王、ヤクルト村上 宗隆内野手(九州学院出身)も左打者ながら、左中間のネットを越える打球を量産していた。数々のスラッガーを生んだグラウンド。今後も、たくさんのスラッガーを生むのだろう。

 九州学院は2015年夏、村上が1年、DeNA伊勢 大夢(ひろむ)投手が3年の時に出場して以来、甲子園から遠ざかっている。来年センバツをかけた秋季大会もベスト8に終わって、出場は絶望的。ヤクルト村上の弟、村上 慶太内野手(2年)を中心とした新チームは、すでに来年夏の甲子園を目指して冬のトレーニングに入った。7年ぶりの聖地へ。復活を目指す練習を訪問した。

 多くのプロ野球選手を育てた坂井宏安前監督が勇退後、バトンを引き継ぎ、20年秋から指揮を執っているのは平井誠也監督。これまで部長として坂井前監督の右腕としてチームを支えてきた。

「これまでの伝統の流れで、守りを中心として点を与えない野球を目指しています。投打のバランスを考えてチームを作ってきましたが、あっという間に1年が過ぎました」

 試行錯誤が続いているが、今年のチームには手応えを感じている。

「昨年から出ているメンバーも多いですし、投手もそこそこ計算できるようになってきた。村上(慶太)が4番に座って打線に厚みが増しています」

 センバツをかけた秋の大会。準々決勝で熊本工に延長11回の激闘の末に敗れた。選手らの落胆ぶりは相当だったが平井監督は前を向いている。「選手らはショックだったでしょうが、初回に4点を取られてリードされるなか、一時は逆転しましたからね。その打撃は胸を張れると思います」。初回に1点を先制するが、その裏に4失点。その後、5回に1点を返すと6回に3点を奪って逆転した。再度、逆転を許すが、9回には同点に追いついて延長戦へ持ち込んだ。その粘りは今後に生きると思っている。

 村上と並んで打線の軸を担うのは3番に座る後藤 大和外野手(2年)。村上とは小学校からの幼馴染で「ともに甲子園に行こう」と約束しているという。敗れはしたが熊本工戦で公式戦初アーチを放った。「打てたのはうれしかったが、その後に打てずに負けたのは悔しいです」。高校通算本塁打は村上の4本を超える5本。村上とは「ふたりでホームラン100本は打とう」と意気込んで九州学院に入学したという。結果は追いついていないが、高い志を来年夏の甲子園への原動力にしている。

 投手陣は3本柱を作り上げた。秋の大会は背番号1だった蔵原 圭周(けいしゅう)投手(2年)に加え、左腕の桑原 颯太投手(2年)、1年生の直江 新(あらた)投手。3番の後藤も投手を兼任している。平井監督は「それぞれが成長してくれている。夏を勝ち抜くには3人は必要ですので、これから個々のレベルを上げないといけません」と話した。

 この冬は以下のメニューをローテーションで回しながら体づくりを進めている。

<練習メニュー>
①坂道ダッシュ+バウンディング
②ウエートトレーニング
③サーキット+体幹トレーニング
④ティー打撃(連続+落下)
④肩甲骨トレーニング+キャッチボール※投手のみ

  

 来年、3月練習試合解禁から春季県大会、そして夏本番のために。「九学ナイン」が苦しいトレーニングの日々を収穫の冬にする。

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