目次

[1]伝統校であり続けるために、やるしかなかった負けない野球
[2]3秒に1球に打たれる超速ノックが水戸商を支える

 秋季関東大会を制したのは、茨城県の明秀日立だった。重量打線を中心に春先も茨城の高校野球をリードしていくのは間違いないだろう。

 ただ茨城といえば春10回、夏16回と県内トップの出場回数を誇る常総学院が、第一勢力として昔から今もなおリードとしているのも事実だ。2020年の選抜でも躍進を見せたが、その常総学院に次いで、春4回、夏10回の甲子園出場実績を持つのが、水戸商だ。


伝統校であり続けるために、やるしかなかった負けない野球



 2022年で創立120年を迎える水戸商。野球部は甲子園のみならず、大久保 博元さんや井川 慶さんといったプロ野球選手も高校野球3年間を過ごしてきた。歴史と実績を併せ持つ学校であることは「中学生の時に進路を調べる際に、詳しい実績は知っていました」という鯨岡 遼雅主将や、「入学前から伝統校であることは知っていました」というエース・平山 颯士を筆頭に、2008年選抜以来、甲子園から離れていても、選手たちのイメージの中には刷り込まれている。

 チームを指揮するのは2年目の古山監督だ。
 自身も水戸商出身で、現役時代には選抜甲子園に出場した輝かしい実績を持つが、監督就任の話を聞いた時はプレッシャーはもちろん、驚きを隠せなかったと振り返る。

「将来、水戸商で指導者になるであろう選手には、当時監督だった橋本先生が、それなりの話や接し方をされるんです。だから誰が指導者になるのか見当できるんですけど、その路線に僕はいませんでした。だからお話をいただいた時は、驚きました」

 しかし、自分の周りを見渡すと、ちょうどできる方がいないことに気が付き、「橋本先生の野球をここで切るわけにはいかない」と腹をくくり、母校の指揮官になることを引き受けた。

 伝統校の指揮官は容易ではない。勝って当たり前とされるチームで指揮官となった以上、求められるのは勝利。負けることは許されないチーム状況は古山監督の中で戸惑いは隠せなかった。

 前任だった小瀬は部員10人で1勝するのが大変なチーム。水戸商と比較すれば、真逆と言っても過言ではない。「別物でしたので、高校時代の経験を生かすしかなかったです」と図らずも恩師・橋本先生に指導された負けない野球、守備からリズムを作る野球を、継承せざるを得ない状況だった。

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