目次

[1]様々な思いの実現へ、敗北の中からヒントを得た
[2]絶対的エース伊藤も「チームの成長を実感」

 令和最初の選抜王者に輝いたのは、東海大相模だった。エース・石田 隼都の安定感抜群の投球を軸にした野球で頂点に上り詰めた。ただ今大会は注目選手が勢ぞろいとなり、優勝候補はいくつかに割れた。その候補のなかの1つが仙台育英だった。

 エース・伊藤 樹という大黒柱があり、打線は主砲・吉野 蓮秋山 俊、さらに準々決勝・天理戦でホームランを放った八巻 真也やチームをまとめる島貫 丞主将がいる。指揮官・須江 航監督が率いるタレント揃いのチームは、悲願の東北勢初の優勝の期待が高まっていた。

 13日の試合にも勝利し、夏の甲子園への出場も期待が膨らむ。そんな周囲からの期待を背に受け、仙台育英の選手たちは、聖地・甲子園でどんな思いをもって過ごしたのか。



様々な思いの実現へ、敗北の中からヒントを得た


 今年の選抜は、仙台育英にとって様々な思いが込められた大会だった。須江監督が立てていた「1000日で日本一を達成する」という目標の期限が、当初の選抜決勝戦が予定されていた3月31日であったこと。そして2011年の東日本大震災から10年の節目に、島貫主将が選手宣誓の大役を果たすことになったこと。

 運命的な何かで重なった大事な大会に向けて、仙台育英は練習試合が解禁された3月6日から早速ゲームを組んだ。相手は広島の強豪・広島商。冬場にやってきた成果を試す絶好の機会であったものの、試合は4対5で敗戦。シーズン最初の練習試合は黒星発進となってしまった。だが、「今の自分たちに何が足りないのか見つめ直すことが出来ました」と島貫主将は話す。

 その後も履正社など関西の強豪とも戦った仙台育英。そのなかで自分たちの課題が明確になるなど、自分たちの弱みと向き合いつつ、結果的に選抜前の練習試合は3度敗北を喫したという。それでも島貫主将は「負けに繋がってしまう試合への準備。負けた時の悔しさを味わえたことで、良い形に選抜に入れました」と決して悲観的になるのではなく、敗戦を前向きにとらえてきた。

 貴重な敗戦のなかでも特に、森木 大智擁する高知との一戦が大きかったと主砲・吉野は振り返る。

 「その時に須江先生からは『日本一になれると感じた』と言ってもらえましましたし、敗因を洗いざらい出せました。そのおかげで新しい打順における各打者の役割。どうやって守備から自分たちのペースを作るのか。そこがはっきりして、攻守のバランスが整い始めたタイミングだったと思います」