目次

[1]日体大柏が採用する驚きの制度の数々
[2]磨いてきた組織力で甲子園を狙う
[3]夏はとにかく「ベストパフォーマンスを」


 アマチュア野球界において、投手育成において長けているといっていいのが日本体育大学。近年であれば松本 航明石商出身)、吉田 大喜大冠出身)などを輩出し、現在は矢澤 宏太藤嶺藤沢出身)が3年生ながら高い注目を集めている。そんな日体大の系列校である千葉の日体大柏は、投手力という要素において他の姉妹校と比較すると、最も母体である日体大に近い。

日体大柏が採用する驚きの制度の数々



日体大柏のミーティングの模様

 岡田 凛太郎川口 珠璃といった好投手たちを多く擁し、投手力の高さが光る。それが今年の日体大柏の印象だ。母体である日体大のDNAをもっとも色濃く継承しているといっていいチームだからこそ、投手陣に対する指導はきめ細かくされているのではないか。そんな仮説を指揮官である伊藤 太一監督にぶつけるも、回答は想定外だった。

 「土日は70、80球くらい投げますが、平日は投げても大体20、30球くらい。選手たちに任せるようにしています」

 あくまで選手たちの主体性を尊重している伊藤監督。実際に取材当日の練習を見ていくと、選手たちのみでミーティングを主体的に進めている姿が見受けられた。「僕が行くと、本音で話せない選手もいるので、あえていきませんし、聞いていません」ということだが、あくまで試合も選手たちの意志でプレーを選択して進めていく以上、主体性が必要だから伊藤監督は選手たちの意志を尊重しているのだという。

 さらに伊藤監督に取材していくと、現在の日体大柏は月2回ほど土日で1日オフを設定。代わりに平日は休みを設けていないが、実に驚きの体制を敷いている。「社会人野球でもあることですし、トレーナーとも相談して体力面でもプラスだろう」ということで採用しているそうだ。

 驚きの体制を採用し続けている伊藤監督だが、監督となったのは2年前。それまでは部長としてチームのサポートに回る立場で、「自分は監督をやれるようなカリスマ性はないので、就任した時はまさかでした」と話すほどだ。

 現役時代は、同じ千葉のなかでも有数の進学校・市川学園で3年間を過ごし、日本体育大へ進んだ。その後、軟式野球で社会人野球を継続する道のりを歩んだ。その時に経験した後悔を、選手たちにさせないように指導しているとのことだが、一番気を付けているのが選手との会話だという。

 「いい意味で先生っぽくなりたくないんですよね。社会人野球の時は社業と野球を両立していましたが、その時に人とのコミュニケーションの取り方、言葉のかけ方や距離の縮め方を学ぶことが出来て、それが今に凄く活きています。
 選手たちには本音で話してもらえるように、営業マン時代に培った相手のことをよく考えて、端的かつ具体的に会話をして心を開いてもらっています。また野球以上に組織とは、どんなものなのか、どれだけ連携が大事なのか、と言うことも話します。だから、今年のチームは組織力を武器にしてくれている分、僕にとってやりやすさしかないです。毎日グラウンドに来ることが楽しみで仕方ないです」

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