春、夏、そして秋すべてを含めて、過去10年で5度の決勝進出。直近では、2020年の西東京大会で決勝戦まで進出。優勝を飾った東海大菅生相手に延長10回までもつれる大熱戦を演じたことは記憶に新しいだろう。

 その夏からまもなく1年。準優勝まで勝ち上がった喜びも悔しさも知る世代が、今度こそ西東京の頂点を目指して大会に挑もうとしている。そんな今年のチームは2度、同じ相手の前に上位進出を阻まれ続けた。

 前回はチーム作りの視点から、佼成学園の強さを考えてきた。今回はチームの春季大会の歩みを中心に見ていきたい。

日本一を知る強烈な主将・福岡元翔が仕掛けたチーム結束の術


 個人練習で選手それぞれが基盤を作り、全体練習で発揮する。この繰り返しが佼成学園という組織の強さを生み出してきたが、今年は加えて日本一を知る男が主将に就任してチームを強くしている。世田谷西シニア出身の福岡 元翔だ。

 今回は新型コロナウイルスの影響で、選手を長い期間見られなかったことを理由に、藤田監督は主将決めを選手に任せたところ、福岡が抜擢された。以前の取材では「意外な選出だったが、バランスの取れた主将です」と評価していた。

 その福岡は、修徳戦からチームの士気を高めるべく、選手たちに自ら発破をかけ続けてきた。
 「修徳戦の時、自分の方で嘘をついて『佼成学園修徳になめられているぞ』と話したんです。それで仲間の士気を高めて修徳と戦いましたし、試合後には『次は学舎だぞ。秋山だぞ』と二松学舎大附戦に向けて言葉をかけました。
 学舎との試合前には『二松学舎大附が有利と言っているのは周りだけだぞ。秋山を倒すぞ』と、とにかく煽り続けました。その一環じゃないですけど、攻守決定のじゃんけんで負けたんですけど、仲間には『(じゃんけん)勝ったぞ。勝ち運来ているぞ』という嘘もつきました(笑)けど、それくらいやったおかげで最高のテンションで試合に入れました」

 これらすべては、世田谷西シニア時代の監督を見様見真似だという福岡。「選手をやる気にさせるが上手な監督で、ただ試合をするのではなくて選手たちに試練を与えて、結束を固めてくれたんです。そういうセンスが選手として見てきたので、主将になって活かしています」というのが理由とのこと。

 エース・前野 唯斗は「福岡を中心にチーム全体が盛り上がって戦えていたからこそ、チーム一丸となることが出来ました」と福岡主将のキャプテンシーが一体感をもたらしていたことを語った。