目次

[1]継承された勝利への執念
[2]戦いを通じて磨いた走力


 西東京大会では佼成学園との延長にもつれ、東西決戦では帝京にサヨナラ勝ちで勝利。昨夏、劇的な勝利が続いた東海大菅生。その先輩たちを引き継いだ現チームも本田 峻也福原 聖矢のU15バッテリーはじめ、千田 光一郎堀町 沖永など経験者を擁し、優勝候補として秋季大会へ。

 秋季大会では走攻守すべてでハイレベルな戦力を遺憾なく発揮して、決勝の日大三戦では6対1のスコアで優勝。文句なしで今春の選抜に選出され、甲子園でも上位進出が期待されている。

 そんな今年の東海大菅生の戦力はいかにして整ったのか。そのプロセスを指揮官・若林弘泰監督、榮 塁唯主将らのコメントから迫っていきたい。

継承された勝利への執念


 「勝ち方や勝つ喜びを3年生から学んだと思います。だから、夏の優勝がなければ簡単には勝てなかったと思いますし、優勝もなかったかもしれません」

 今回の取材の中で若林監督が語った印象深いエピソードだ。昨夏は新型コロナウイルスの影響で夏の甲子園は無くなった。全国の高校球児が衝撃を受けたが、日本一を掲げる東海大菅生にとっても、甲子園が無くなったことは大きな意味があった。若林監督も「甲子園が無くなったあんな状況だと嫌になると思います」と改めて振り返る。

 それでも普段通り戦うことを選手たちへ伝え、夏の西東京大会に挑んだ。ただ、エース左腕・新倉 寛之、主砲・杉崎 成はともに不調。チームの状態は万全とは言えなかった。若林監督も「ボロボロだった」と当時を思い返すが、それでも勝てたことが大きかったのだ。

 榮主将も「最終回になれば気持ちで打つといいますか、執念でサヨナラ勝ちに繋がることがあった」と振り返れば、岩田 一真は「最後まで集中力をもって、勝とうとして夏を戦ったから優勝したと思います」と語る。

 たしかに西東京決勝は最終回に追いつかれてもサヨナラ勝ち。東西決戦でも2点ビハインドの苦しい試合展開から最終回に3点を奪ってみせた。こうした戦いぶりこそが3年生が見せた勝利への執念であり、現在のチームに残った財産であったことは間違いない。

 すると、若林監督はこんな話を出してくれた。
 「どんなにいい選手だって、気持ちがなければダメです。だから技術では気持ちは上回れません。逆に気持ちは技術を上回ることが出来ます。だから勝利へ執念は大事だと思っています」

 夏の西東京大会でサヨナラ打を放った堀町 沖永は試合後、「ヒーロー思考」という言葉を口にしていたが、そういったメンタル面で引かない。逆に「やってやるんだ」と思うくらいの前向きな姿勢が今の東海大菅生のDNAとして脈々と継承され始めたことが新チームにとって大きかった。