目次

[1]名伯楽も期待する高野山のキーマン
[2]野球人生を高野山で終える決意で指導にあたる


 高野山真言宗が母体となっている和歌山の高野山高校。野球部は1966年春と1988年夏に甲子園出場経験のある強豪で、近年も2015年と2016年に秋の近畿大会に出場している。

 その名の通り、学校は高野山の山中にある。南海電鉄の極楽橋駅からケーブルカーで高野山駅まで登り、そこからバスで10分ほど行くと、高野山高校に到着する。

 今回はそんな高野山高校訪問の後編をお届けする。

前編はこちらから!
阿部慎之助を育てた名伯楽が就任した高野山は前途多難な船出をどう乗り越えたのか?【前編】

名伯楽も期待する高野山のキーマン


 新チームになって初めての公式戦である新人戦は田辺工に5対8で敗れて初戦敗退となったが、この試合では10失策と守備が乱れた。
「僕も野球人生は長いんですが、エラー10個というのは初めて経験しました」と伊藤監督は苦笑する。新チーム結成から3週間の時点では3年生の穴を埋めることができなかった。

 それでもその後はエースの天野 祐希(2年)が成長を見せ、「最後の方はそれなりの練習試合やっても勝てるようになってきました」(伊藤監督)と手応えを感じられるようになっていた。

 気を取り直して戦った秋の大会は初戦で南部龍神に7対1で勝利。続く3回戦ではプロ注目の左腕・中川 大雅(2年)を擁する箕島と対戦した。後半に打線が湿り、3対4で敗れたが、「チームは成長して、自分もこれまで自分中心だったのが、チームのためにという考え方に変わりました」(渡邉)と各々が進歩を感じることができた。

 冬場は気温が低く凍結しやすいグラウンド状況のため、実戦練習を行うことができない。「全体の練習が10としたら、陸上部が7割くらい。走り込みや体幹強化に努めました」(伊藤監督)と体力強化に力を注いできた。「去年よりは確実に球が速くなって、迫力も増したと思う」と天野が語るように選手たちは着実にスケールアップしている。

 春以降に向けて伊藤監督が期待しているのが天野と外野手の脊古 一颯(2年)だ。天野は制球力の高い右投手で、チェンジアップ、カーブ、スライダー、ツーシームと多彩な変化球を操る。投手が3人しかいないチーム事情もあり、「今のチームは天野がエースとして頑張ってほしいです」と指揮官は大黒柱としての活躍を望んでいる。

 脊古は旧チームからレギュラーを務めてきた右の好打者で、秋からはリードオフマンを任されている。身長170㎝と小柄だが、鋭いライナー性の打球を打てるのが持ち味だ。「隙がないくらい一生懸命やる子」と伊藤監督は練習に対する取り組みも高く評価している。