目次

[1]150球の投げ込みに込められた細かなルール
[2]なぜ投手の球速を測るのか?


 今、野球界において球数問題の議論が熱くなっている。それは試合だけではなく、練習においての球数も含まれている。今回、大きな議論を生まれそうなチームがある。

 それが岐阜の伝統校・県立岐阜商である。秀岳館を3季連続の甲子園ベスト4に導いた名将・鍛治 舎巧氏に就任して以来、2年連続の秋季東海大会準優勝。センバツ出場を決めている。

 鍛治舎監督の指導方針といえば、パナソニックで専務を務めた経験もあり、一般社会人でも切り離せない「PDCA」システムを導入し、選手のバイタリティ向上を図り、結果的にパフォーマンスを飛躍的にレベルアップし、伝統校を復活させることができた。

 本題に入ると、県立岐阜商はオフ期間、1週間で600球。かなり多いと感じる方が大半だろう。これは意見が分かれるのは承知だが、卓抜とした視野の広さでマネジメントし、結果を残す鍛治舎監督の方針をぜひご覧いただきたい。

150球の投げ込みに込められた細かなルール


 県立岐阜商では冬場のシーズンに入ると、投手陣にブルペンに入る際には150球投げ込むように指示する。週4日実施し、1週間当たり600球投げ込むようにしている。狙いは1試合完投できるだけのスタミナや筋力といったフィジカル面の強化を図っている。鍛治舎監督は現在の「1週間500球の球数制限」もあることも踏まえ、狙いを次のように話す。

 「球数制限もありますので、完投能力のある選手を複数枚で繋いでいく。プロ野球のオールスターのようなイメージで、ベストな状態の投手を短く繋ぐことが一番良いと思っています」

 もちろん闇雲に投げ込むものではない。150球の投げ込みの中には細かなルールが設定されている。
・50球はストレートによる全力投球
・50球はストライクゾーンの四隅を狙った制球力向上
・50球は変化球を投げ込む

 投手それぞれの持ち球などによって多少の変化はあるが、基本ベースは上記の枠組みとなっており、それに従ってブルペンで投げ込みを行う。

 さらにこの投げ込みには数字を重要視し、強化を図る鍛治舎監督の方針ならではの取り組みがある。この投球練習の際中、球速を測って最速と平均球速などを指導者が持つメディカルチェックなども明記された専用シートに記入。日々の変化を書き記しながら、選手と指導者間でコミュニケーションが取れることで「週4日150球投げてもケガはしにくいと思います」とエース・野崎 慎裕は実感している。

 きめ細やかな管理の中でレベルアップに余念がない選手たちが、この制限をどのように感じているのか。
 「最速とアベレージの更新を考えて全力投球の時はやりますし、前回できなかったからこそ次は意識をもって取り組めるので、効果はあります。スタミナも向上しましたし、沢山投げるからこそ、不足している筋力を感じ取れるので、凄く意味のある練習だと思います」(野崎 慎裕