Column

名手を生み出す天理(奈良)の守備の基礎練習は参考になる内容だった!

2021.01.10

 高校野球界を代表する名門校の1つに数えられる天理。今年のチームも近畿王者・智辯学園を下して奈良県大会を優勝。奈良1位として近畿大会に出場して乙訓を破った。

 大阪桐蔭に敗れ大会ベスト8と選抜は微妙な立ち位置ではあるが、好投手・達孝太を軸に実力ある選手が今年も揃う。そんな天理が実践し、反響の大きかった守備の基礎練習を今回は紹介。映像とともに読んでもらえればポイントなどがわかる内容となっている。

名手を生み出す天理(奈良)の守備の基礎練習は参考になる内容だった! | 高校野球ドットコムこれまでの記事はこちらから!

名門・天理はなぜ投票制、効率化を重視しながらも全国の舞台へ行けるのか【前編】


「今年は不思議なチーム」天理の近畿8強への道のりと今後の課題【後編】

参考にしたい3つのメニュー

名手を生み出す天理(奈良)の守備の基礎練習は参考になる内容だった! | 高校野球ドットコム
守備練習に打ち込む天理の選手たち

6人1組で4か所でのボール回し

 最初に行われるのが6人1組になって4か所に分かれてのボール回し。塁間の半分程度の距離をとって、正面にいる相手にボールを投げると、そこから二遊間の併殺プレーと同じ動きで隣にいる相手に足を使いながらトス。そのボールを受け取った選手が、正面にいる相手にスローするという単純な動きだが、これを天理の選手たちは軽快を回していく。

 取材当日、選手たちに足を使って投げることの重要性を説明するシーンも見受けられたが、このメニューを通じて握り替えの速さやフットワークの強化を図る。またこの練習をする際のポイントについてショートを守る杉下海生はこのように語る。

 「捕ってから投げる方の手をグラブに寄せるのではなく、グラブを付けている手を投げる方の手に引き付けるのが握り替えを早くするポイントとして全体で意識しています」

3人1組での捕球練習

 先ほどのメニューが終わると、続いては3人1組になって捕球練習。1セット10球と数はあまり多くない。チームを指揮する中村良二監督が「惰性でやることは意味がないです。でしたら、短い時間で少ない回数でも効率よくやろう」という方針があるが、その象徴の1つといってもいいメニューである。

 パートナーは仲間が捕球した位置から2メートルほど離れた場所へボールを転がし、そこまで全力でダッシュして再び捕球する動作を繰り返す。動きそのものは単純でどのチームでもすぐに取り入れられるメニューだが、1球1球真剣に取り組めばかなり過酷なメニューとなっている。

 この練習をすることで、「球際の強さや、あと1歩というところで打球に追いつけるようになりました」と杉下は効果を実感。量ではなく質を高めたことで確実に選手たちの成長に繋がっているのだ。

[page_break:すぐに取り入れたい効果的なメニュー]

すぐに取り入れたい効果的なメニュー

名手を生み出す天理(奈良)の守備の基礎練習は参考になる内容だった! | 高校野球ドットコム
3人1組での捕球練習の練習に打ち込む天理の選手

実戦的な動きのなかの捕球練習

 最後の1つがジグザクに走る少し変わったメニュー。しかしよく見ると、かなり細かなこだわりがあることが見えてくる。それは杉下の解説からも見えてくる。
 「右足にしっかりとタメを作ってから、まずは低い態勢のままステップをしてスロー。その低さを維持したまま、正面から来るボールを捕って併殺プレーの動きをしながら投げる。最後は低めのボールを逆シングルで捕球してスローします」

 最初の捕球態勢を作るためにヘルメットを置き、それをタッチすることで自然と低い態勢を作ると同時に、右足にタメを作りやすくする。その流れできっちりスローさせることで、次のプレーもスムーズに移行できるようになっており、下半身強化だけではなく、捕球動作やフットワークを覚えるには最適なメニューとなっている。

 U15を経験している杉下も「低く素早く動く。最後の一伸びが出来るようになります」とこれまでのメニュー同様に効果を感じ取っている。

 毎年オフシーズンは「基礎練習を見直して技術を伸ばす時期なので、この時期がきちんとできなければ春、夏は勝ち抜けないと思っています」と中村監督が語るほど大事なシーズンである。そんな強いこだわりが垣間見えた守備の基礎練習は、どのチームでもすぐに取り入れられる簡単なメニューとなっている。

 今回の記事、そして動画を参考に守備力向上のきっかけになれば幸いである。

(取材=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.16

【春季埼玉県大会】2回に一挙8得点!川口が浦和麗明をコールドで退けて県大会へ!

2024.04.16

【群馬】前橋が0封勝利、東農大二はコールド発進<春季大会>

2024.04.16

社会人野球に復帰した元巨人ドライチ・桜井俊貴「もう一度東京ドームのマウンドに立ちたい」

2024.04.16

【12球団4番打者成績一覧】開幕ダッシュに成功した4番はOPS1.1超のWBC戦士!

2024.04.16

城西国際大の新入生に大阪桐蔭、帝京、作新学院、神村学園ら強豪校の好選手が揃う!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!

2024.04.12

【九州】エナジックは明豊と、春日は佐賀北と対戦<春季地区大会組み合わせ>

2024.04.11

【埼玉】所沢、熊谷商、草加西などが初戦を突破<春季県大会地区予選>

2024.04.11

【千葉】中央学院は成田と磯辺の勝者と対戦<春季県大会組み合わせ>

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード