目次

[1]少ない時間を効率的に過ごす
[2]天理が投票制を採用するわけ


 秋の近畿を制したのは強打の智辯学園西村 王雅小畠 一心前川 右京といった経験者をはじめとした戦力で頂点まで勝ち上がったが、公式戦で唯一白星を挙げたのがライバル・天理だ。

 中村 奨吾太田 椋といったプロ野球選手も輩出する全国屈指の名門校である天理。現役時代は主将として全国制覇を経験した同校のOBにして元プロ野球選手の中村良二監督の下、今年のチームはいかにして近畿大会8強までの結果を残したのか。

少ない時間を効率的に過ごす


 取材日、天理高校のグランドに足を運ぶと、入念なストレッチやアップ。そしてキャッチボールにも時間を割き、ケガを防止する姿勢がすぐに分かった。またこの日は守備の基本を徹底的に覚えこむべく、基礎練習を中心にメニューを消化。オフシーズンらしいメニューではあるが、見ていて気づくのは本数が少ないことだ。

 冬場になると、素振り1日1000本といったようなノルマを決めるチームも多い。しかして「ウチの場合は平日300回、土日祝日は500回を練習時間のノルマにしています」と中村監督は説明。毎年、強打のチームの印象が強い天理からすると、意外な数字である。

 しかも、その数字はロングティーやティーバッティングの本数もカウントするとのことで、素振りをひたすらやるような感じではないというのだ。しかし、そこには名将・中村監督なりの考えがあってのことだ。

 「時間の制限があることもですが、たくさんやるにしても惰性でやることは意味がないです。でしたら、短い時間で少ない回数でも効率よくやろうということですね」

 しかし、選手たちからすると、やはり物足りないと感じることが多いようで、旧チームから選手たち自ら朝練で素振りをし始めるなど、選手たち自ら進んで練習量を増やす動きも出てきた。この傾向を中村監督は最も大事にしていることなのだ。

 「短い練習時間に無理やり1000回振らせるよりも、練習では300回やって、寮に戻ってから700回振ってもいいわけですよね。けど得られる効果は同じ1000回でも全然違います。自分たちで考えて取り組む練習の方が力はつくので、寮での自由時間を大事にしてほしいと思っています」

 だからこそ中村監督は「自主練習の時に何をするのか。それも見ています」とどんなメニューをするのかにも目を光らせる。そこで取り組メニューが違うと思えば声をかけることもするという。選手に任せる自主性があるとはいえ、正すべきところは正すようにしているのだ。