選抜出場の可能性残る神戸国際大附(兵庫)が目指すのは「一目で強い。隙のないチーム」【後編】
今秋の近畿を制したのは奈良県2位・智辯学園。準優勝は大阪桐蔭と今年も熾烈を極めた近畿大会。強豪校がひしめき合い高い注目を集める激戦区の1つだが、その近畿大会でベスト8まで勝ち進んだのが神戸国際大附だった。
現役でプレーをされている坂口智隆や小深田大翔。そして2020年のドラフト会議にて巨人からドラフト1位指名を受けた平内龍太らを輩出する兵庫県屈指の名門校だ。今年は注目の二刀流・阪上翔也を擁する強豪はいかにして近畿8強まで上り詰めたのか。
後編では今年のチームの歩みについて迫っていく。
前編はこちらから!
近畿8強・神戸国際大付(兵庫)はなぜ毎年強力打線を築き上げられるのか【前編】
県大会から続いた接戦を制して近畿8強へ
近江に勝った瞬間にガッツポーズする阪上 翔也
投手力の課題を感じながらも神戸国際大付は地区予選を突破して県大会進出。県大会の初戦・三田学園戦も6対0で快勝した。しかし2回戦・神戸第一戦は一転して苦戦を強いられた。
「1対0の苦しい展開で、三振が欲しい場面で阪上を登板させたら打たれまして。そこから延長戦が始まりましたね」(青木尚龍監督)
続く3回戦の社には延長13回の大接戦。阪上がリリーフで登板して、9回15奪三振の粘り強い投球を見せて4対2で勝利すると、準々決勝以降は安定の試合運びで県の頂点まで駆け上がった。青木監督は県大会まで振り返って「投手陣で守って勝負所で点数を取る野球をしてきたので、9回で決着つかないことは初めてでした」と語る。
それと同時に「阪上が投げなければ優勝はありませんでした。良く投げてくれました」と青木監督はエースへのねぎらいの言葉を改めて贈った。
その阪上をエースにして、神戸国際大付は近畿大会へ臨む。初戦は滋賀の名門・近江が相手だったが、並々ならぬ思いがあった。
「2年連続で近畿の初戦で負けていましたし、1つでも勝たないと来年の選抜の選考にも不利でしたので、『何とかして勝ちたい』と思っていました」
選抜に繋がる以上、出来る限り勝つことを念頭において練習をしてきた神戸国際大付にとっては大事な一戦。試合は阪上のボークという意外な形で先取点を献上するものの、相手のミスなどもあって勝ち越し。試合には5対2で勝利することが出来た。
「勝ってほっとしました。ボークで失点をして、山田(陽翔)くんは好投手でしたので。ただ意外な形で得点できてラッキーだったと思います」(青木監督)
一目で強い。隙のないチームを作る
神戸国際大付の練習模様
そして選抜がかかった大一番。京都国際との準々決勝は、これまでの疲労で投げられなかった阪上を野手として起用して挑んだが、序盤の失点が響き5対6で敗戦した。青木監督は「中辻、加門が踏ん張り切れなかった」と反省を口にする。
また西川侑志主将は体格面にも課題を感じつつも、「近畿大会に出場して技術面で劣っている部分がありました」と語る。体力、技術ともにさらなる成長が必要だと痛感した。その一方で勝ち上がるたびに成長してきたことを実感していた。
それこそ秋の大会ならではの利点ではあるが、青木監督が選手たちに求めるのは競争だった。
「とにかく誰かが出て来いと思っています。完全なレギュラーはいませんので、投手も野手も誰が出てきてほしいです。ですので、選手たちには『秋のメンバーのままはないぞ』と伝えています。甲子園はそれなりに力のあるチームが揃うので、今のままではダメだと思っています」
危機感を募らせながらも「だからこそ育てがいがあります」と青木監督は語る。理想とする「1番から9番までに3つの軸がある」打線を作るべく、今も練習に打ち込む。「見た目から打力のあるチーム。一目で強い。隙のないチームを作りたい」と最後に意気込みを語った西川主将。
まず1月29日に吉報は届くのか。そして春以降、神戸国際大付はどのようなチームに生まれ変わるのか。春先の成長ぶりを楽しみにしたい。
(取材=田中 裕毅)