目次

[1]一体感を生むところからスタート
[2]大会前日でも普段の1日と変わらぬ取り組みで


 春夏通じて13回の甲子園出場。近年甲子園出場を争う健大高崎前橋育英を凌ぎ、群馬県内でトップの成績を誇っているのが、前橋工だ。

 新チームより、前橋工のOBでもある高橋 寛人監督が就任し、古豪復活に向けて新たな一歩を踏み出した。聖地・甲子園に戻るべく、前橋工の現在の取り組みに迫っていきたい。

一体感を生むところからスタート


 「今は外野が天然芝のグラウンドに室内練習場と、かなり充実した設備になって良くなったと思います」

 暗くなれば照明をつけてバッティングだけではなく、ノックもできる前橋工。この環境のおかげもあり、大会が近くなると「天然芝のグラウンドで実践を積みたい」ということで多くのチームと練習試合を組むとのこと。

 監督、他校のチームもうらやむ環境で日々研鑽を重ねる前橋工の監督として8月から指揮を執る高橋監督。古豪復活を任された高橋監督がまず始めたことは、感謝の気持ちを育むところだった。

 「決勝まで勝ち進んでも甲子園を逃すことがかなりありますので、その差を考えると、グラウンドや道具の管理や感謝の気持ちかなと。ですので、道具磨きは大体10分程度ですが時間を作りまして、道具に対して愛着を持つ。それが結果としてチームが1つになって戦うことになると考えています」

 取材当日、選手それぞれが道具を磨けるようにメンテナンス用品を持参し、練習終わりには道具を磨いていた。こうして選手たちの意識を変えようと高橋監督は取り組んだ。実際に、戸塚一徹主将は「道具だけではなく、プレーの中の1球に対して大事にすることを学びました」と少しずつではあるが、浸透してきている。

 また一体感を生むために、ランニングから高橋監督は選手たちに細かく指導をする。その当時のことを戸塚主将がこのように振り返る。
 「外野の周りを3周するだけですが、足並みをそろえて声を出す。それだけなのですが、終わってから選手間で話し合って、ダメなら最初からやり直しということで、足並みがそろわず何ともやり直しをしました」

 戸塚主将は思わず苦笑いを浮かべるが、それだけ強いこだわりをもって前橋工はランニングから徹底的に取り組んだ。今ではそういったことはなくなったが、「一体感は生まれてきたと思います」と戸塚主将は手ごたえを感じていた。

 選手たちのマインド面を磨いた高橋監督。その次に着手したのは練習への取り組む姿勢。特別な練習はやらなかったが、どれだけ実戦をイメージできるかをポイントに置いた。
 「常に緊張感をもって質を高めるようにしました。シートノック1つにしても、ランナーの動きを想定して送球をする。また声を繋いだり、カバーリングの動きといった細かな部分までやっています」

 新型コロナウイルスの影響もあり、ボールを使って練習する機会が例年以上に少なったことも考慮し、実戦練習を多く取り入れるようにした。練習の延長が試合だと考え、キチンと試合を想定し、緊張感を持った中で練習に打ち込み質を高めた。