目次

[1]地域密着型チームが名門を破ったわけ
[2]チームのキーマンたちの語る、躍進の秋の裏側

 前身の三島商時代から数えて、昨年創立100年を迎えた三島南。2年後に創部した野球部は、2021(令和3)年、つまりこの秋のチームが創部100周年目のメンバーということになる。

 そんなチームが、この秋は県大会では県内1の名門静岡を下すなどしてベスト4に進出した。惜しくも東海地区大会進出はならなかったものの、新たな歴史と伝統を築いていこうという三島南を訪ねた。

地域密着型チームが名門を破ったわけ



グラウンドに出た者から練習の準備を始める選手たち

 高校野球は地域に密着してさまざまな人たちに支えられながら活動していくという側面もある。そういう意味では、地域の伝統ある公立校というのは、そんな存在となるのだが、静岡県東部地区の三島南もまさにそんな野球部である。

 しかも、稲木恵介監督が7年前に異動してきて翌年に監督に就任して以降は、保護者や地域の協力を得て、少しずつ学校の野球環境も整えていった。バックネットやダッグアウト、打球の飛び出し防止用のネットにグラウンドの黒土などが整備されていった。

 こうして、県内の公立校としては有数のグラウンド環境が整った。両翼もたっぷり92m以上とれており、中堅は120m以上とることも可能だ。

 グラウンドとしてはサッカー部や陸上競技部、女子ハンドボール部などとの併用にはなっているものの、他の部活動や体育の授業などともほとんど重ならないほぼ専用グラウンドといっていい状況だ。

 実績としては2016(平成28)年春は東部地区大会初戦で飛龍、3位決定戦では知徳と同地区の私学有力校を下し県大会でも聖隷クリストファーを下すなどしてベスト8入り。

 その年は夏のシード権も獲得している。そしてこの秋、東部地区予選の3位決定戦で星陵を下して進出した県大会では2回戦では2003年春に甲子園出場実績もある浜名を下し、準々決勝では最大の壁だった静岡を破ってのベスト4進出。

 しかし、準決勝と3位決定戦で敗れて悲願の東海地区大会進出を逃した。
 「この秋は、大会を通じて選手たちが成長していく姿が見られた。改めて、高校生の成長の早さに驚かされた。結果よりは今の力を100%出すことに徹底した。そういう意味では浜名、静高と100%出すことができた」
 と、4強まで進出できたという結果に対してはある程度の満足感と手ごたえはあったと感じていたようだ。

 しかし、もう一つ上のステージを逃したことに対しては、やはり次への課題と感じていた。
 「準決勝、3位決定戦は思った以上に選手に疲労感が見られ、体力面の強化とともに精神面での強化も感じました」

 ことに、トーナメントの場合は勝ち上がれば勝ち上がるほど、精神的な要素も大きく心がタフでないと厳しくなっていく。そういう点では、県大会準決勝という舞台を経験したことで、一つ自分たちのやるべきことが見えてきたともいえようか。

 「100%の力を出すための準備を大切にする練習」

 これが、今後の練習をしていく上での最大のテーマとなっている。

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