第1050回 戦国千葉で上位へ勝ち上がり続ける千葉学芸 躍進への第一歩となる名将の就任【前編】2020年11月02日

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【目次】
[1]最初は驚きの連続
[2]なぜ千葉学芸には部員が集まるのか


 千葉県といえば、勢力図の入れ替えが激しい県である。そんな中、木更津総合専大松戸などの常連に続いて安定した実績を残しているのが千葉学芸だ。

 千葉県北東部の東金市に所在する千葉学芸は2000年に男女共学となった。野球部がスタートしてからも、目立った実績がなかった。しかし転機となったのが2017年だった。三重で監督、千葉黎明でコーチを務めた高倉伸介監督が就任。2017年秋には県大会で専大松戸に逆転勝利。2019年春、ベスト8。そして2019年夏秋はベスト16、2020年夏、秋とベスト8入りを果たし、県内上位常連となった。果たしてその躍進の要因はどこにあるのか。

最初は驚きの連続



高倉監督の話を聞く選手たち(千葉学芸)

 「最初は驚くことばかりでしたね。いろんな学校で監督、コーチを務めさせていただきましたが、初めての光景ばかりでした」

 高倉監督は三重県出身。元巨人の高橋 由伸(桐蔭学園出身)、元中日の川上 憲伸(徳島商出身)と同世代で、三重高、名城大では投手として活躍。現役時代から指導者を志していた高倉監督は母校・三重高のコーチ、監督などを務め、皇學館でバトミントン部を指導。未経験ながら、インターハイに導いた実績を評価され、千葉黎明でコーチを務め、関東大会出場に貢献した。そうした実績を評価され、2017年に千葉学芸の監督就任が決まったのだ。

 高倉監督は三重県時代、強豪校の指導だけではなく、県立高の勤務もあり、少人数のチームを率いた経験や、他競技での指導経験もある。ただ、優れた指導実績だけで高校野球は勝てるほど甘くない。驚くほど野球に対して情熱がない高校生を指導しなければならない時がある。それが千葉学芸だった。

 「ある日、ここ(学芸グラウンド)で練習試合があったんですが、変則ダブルヘッダーで、うちの選手たちが2試合目の空き時間があったのですが、その時、彼らはウエートルームの2階にベランダがあるのですが、そこで日向ぼっこして休んでいるんですよね。野球に対する準備をするわけではないので、かなり時間をかけて話をしていきましたね」
 部員14人のスタートだったが、やる気さえあれば向上はできる。しかし千葉学芸はそれ以前の問題だった。

 千葉学芸はずっと弱かったチームだったわけではなく、2010年夏にベスト16入りするなど、県大会でもベスト32~16に入ることもたびたびあった。しかし、近年は初戦敗退が続き、低迷が続いていた。高倉監督が赴任する前の秋も、敗者復活戦の代表決定戦までいっている。強豪校と呼べるものではないが、全く弱いわけではない。野球に対して、真剣さが失われていたのだ。だからこその行動だったのだろう。
 そこから高倉監督は生活面の指導に入った。まず社会に送り出せるよう、生活面について完璧にできるように行った。
 「指導者が『まあいいか』で適当に済ませてしまうと、問題が後々に起こる。そこに乱れがあればかなり叱ったと思いますし、長い時間をかけて指導したと思います」

 そうして、少しずつ上向き、秋の県大会は見事に専大松戸に逆転勝利をおさめ、初戦突破を決めた。この1勝がのちの躍進のきっかけとなった。

 2018年4月、高倉監督がリクルーティングをしてきた今の高校3年生たちが入学。プロ志望を提出した146キロ右腕・小芝 永久、捕手・斎藤 直樹など23名が入部。2018年は夏初戦敗退、秋も初戦敗退となったが、この冬の間にしっかりと実力をつけ、2019年春には拓大紅陵にコールド勝ちするなど、ベスト8入り。また有薗 直輝板倉 颯汰など実力のある選手が入るようになり、夏、秋はベスト16。この夏、秋はベスト8と、着実にステップアップをしている。

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専大松戸 【高校別データ】
千葉学芸 【高校別データ】

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プロフィール

河嶋宗一
編集長 河嶋 宗一
  • 出身地:千葉県
  • ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
  • ■ 編集長であり、ドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
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