第1046回 大阪の公立の雄・汎愛に入った「PL学園の血」。ソフトボールの塁間を用いるなど練習は工夫だらけ2020年10月15日
【目次】
[1]赴任したばかりの監督をすぐに受け入れた3年生
[2]ソフトボールの塁間を用いた練習で握り替えの速さを培う
[3]秋季大会敗戦で浮き彫りになった実戦経験の無さ
長年、大阪の実力派公立校として親しまれている汎愛高校。
2016年の春季大阪府大会ではベスト4に進出し、2017年の選手権大阪府大会ではベスト8に進出を果たすなど、市立高校でありながら毎年上位進出を狙える力を持っている。
そんな汎愛に、この春から新しい血が入った。
4月に赴任した加納岳監督は、府内で唯一のPL学園出身の監督で今年33歳の青年監督。
工夫した練習と選手との柔軟な関係を作り上げ、準備期間も少ない中で今夏の大阪独自大会ではベスト16に進出した。
加納監督に、汎愛での最初の夏を振り返っていただき、新チームの現在地についても伺った。
赴任したばかりの監督をすぐに受け入れた3年生

汎愛高校野球部を訪問!
「学校に赴任したのは今年の4月で、 練習は6月15日から。それで1ヶ月後には大会という中で、選手たちはめっちゃ頑張ってくれましたし、ほんまに選手に助けられた大会だったと思います」
この春に赴任した指導者にとって、今年の夏は一つの試練だったかもしれない。
加納監督も例外ではなかった。
短い期間の中で選手の名前、ポジション、特徴を覚え、大会臨める状態まで急ピッチでチームを作っていく。
加納監督は一対一での面談やミーティングを繰り返す中で、選手の意向や気持ちを汲み取りながら方向性を決めてきた。
その気持ちが通じたのか、選手たちも加納監督に歩み寄ろうと努め、その結果が夏の独自大会ベスト16という結果に結びついたと振り返る。
「3年生にどんな練習をしていきたいか尋ねると、『先生の練習メニューをお願いします』と僕を受け入れてくれました。
『こんな練習しようと思うけどどうする』と話を聞くと、全部やりたいですと言ってくれたので、これまでのやり方を残すところは残して、その中で少し色を出しながらやっていきました」
その流れは新チームになった現在でも続いている。
練習の意図や求めるものを伝えつつ、選手たちの意見にも耳を傾ける。いきなり色を出していくことはせずに、あくまで選手の意向を汲み取りながら練習を進める。
夏の炎天下での練習にも関わらず、選手たちに悲壮感は全くない。
こうした小さな人心掌握術が、チームの士気を保っているのであろう。
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