伝統的な守り中心の野球を掲げる前橋商。3人のキーマンを中心に2010年夏以来の聖地目指す
群馬の高校野球といえば、長らく公立校が牽引してきた。甲子園準優勝2回経験ある桐生、さらに「タカタカ」と愛称で親しまれた高崎。そして前橋商も長く、群馬を牽引してきた公立校だ。
2010年から前橋育英、健大高崎の2強時代が長く続いたが、今年は1999年、群馬県勢甲子園初優勝の桐生第一も加わり、まさに戦国時代へと化した。
その中にあって、前橋商は私学3強相手に健闘を見せている。
今回はそんな前橋商の、新チームのキーマンとなる3人の選手を紹介していく。開催中の秋季群馬県大会では是非注目していただきたい。
4番に座る萩原蒼真選手は投手としても期待
投打で活躍が期待される萩原蒼真選手
前橋商の新チームがスタートしたのは、8月8日に群馬県独自大会準決勝で桐生第一に敗れた次の日。
夏はベストメンバーで臨んだ前橋商だが、チームは3年生主体であったため、必然的に新チームは少し遅れる形でスタートした。
その中で住吉監督は、打線のキーマンに3人の打者の名前を挙げて期待を寄せる。
まず一人目が、内野手として夏の大会も守備固めで経験した高田修造選手だ。確実性のある守備に加えて、俊足も持ち味の左打者で、打撃面もようやく確実性が身についてきた。
住吉監督が「もう少し長打力がついていけば、中心打者として活躍できると思います」と話 すように、現在はパワーアップを課題に掲げて取り組んでいる。
また、ショートを守る内田遥己選手も中心選手として期待が懸かる。
堅守もさることながら、見た目以上にバットがしっかりと振れる点を住吉監督は高く評価しており、打線の中軸に座る可能性もある選手だ。勝負強さもる選手で、勝負所での一本や流れを変える一打が期待される。
そして住吉監督が3人目のキーマンとして名前を挙げたのが、4番打者で投手としても成長が期待されている萩原蒼真選手だ。188センチ・83キロの屈強な体格から力強いスイングを見せる萩原だが、体の強さを活かして投手でも非凡な能力を発揮する。
住吉監督は「ここまで練習試合では全試合に四番で起用していまして、どっしりと定着して相手に威圧感を与えるようなバッターになってもらいたいなと思っています」と話しており、打線の軸としての働きを期待する。
だが萩原自身は、なかなか打率が上がってこない現状に満足していない。打率を残せ、さらにチャンスでの1本が打てる打者を目指して、さらに練習を積んでいきたいと危機感を見せる。
キーマンに名前が挙がる高田修造選手(左)と内田遥己選手(右)
「チャンスでの1本を打つことができていなくて、まだ4番として未熟です。チームのために、ここで1本というところでしっかり打てる4番になりたいと思います」
現在開催中の秋季関東地区高校野球大会群馬県予選では、準々決勝まで進出しており27日に樹徳と対戦の予定だ。
住吉監督が「ウチは大勝するチームではなく、伝統的なしっかりとした守りでミスを少なくして、チャンスでの1本に重点を置いている」と話すように、ここまで1回戦では4対3と接戦をものにして、2回戦でも4対0と堅実野球を見せている。
そして、私学三強への意識ももちろん忘れない。
大会では、あくまで一戦一戦勝ち上がることが鉄則であるが、宿敵の打倒も選手たちの大きなモチベーションになっている。
萩原は打倒・私学三強への強い思いを口にした。
「一昨年も決勝で前橋育英に負けて、今年もベスト4で桐生第一に破れました。やっぱり強豪私学への意識は強いので、何とか粘って倒して、甲子園に行けるように頑張っていきたいです」
後藤駿太(オリックス)を擁した2010年夏以来となる甲子園に向けて、前橋商は今年も虎視眈々とチームを作り挙げている。
(取材=栗崎祐太朗)
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