目次

[1]打撃練習と連動した走塁練習で1点をもぎ取る意識を植え付ける
[2]機動力を強化したことによってもたされた打撃力向上


 群馬の高校野球といえば、長らく公立校が牽引してきた。甲子園準優勝2回経験ある桐生、さらに「タカタカ」と愛称で親しまれた高崎。そして前橋商も長く、群馬を牽引してきた公立校だ。
 2010年から前橋育英健大高崎の2強時代が長く続いたが、今年は1999年、群馬県勢甲子園初優勝の桐生第一も加わり、まさに戦国時代へと化した。

 その中にあって、前橋商は私学3強相手に健闘を見せている。
 昨夏は読売ジャイアンツの有望株である井上 温大投手を擁して、決勝進出と甲子園まであと一歩のところまで迫り、今夏も準決勝進出と奮闘。私学勢にも引けを取らぬ実績を残している。

 だが前橋商が目指すのは、あくまで強豪私学を打ち破り甲子園出場を果たすことだ。打倒・私学への取り組みを追った。

打撃練習と連動した走塁練習で1点をもぎ取る意識を植え付ける


 2019年3月に前橋市上佐鳥町に新グラウンドが完成し、新たなスタートを切った前橋商
 5人の投手が同時にピッチングができるブルペンは、住吉信篤監督たっての希望で作られたもので、投手力アップへの追い風になっている。
 水はけも良いこのグラウンドは環境面においても強豪私学に負けていない。

 近年は、甲子園でその名を大きく上げた前橋育英健大高崎、そして夏の群馬県独自大会を制した桐生第一に行く手を何度も阻まれてきたが、その一方でその3強に次ぐ存在として虎視眈々と聖地を狙っている。

 そしてその練習内容も、県内のライバル校を大きく意識したものだ。フリーバッティングでは、ただ気持ちよくバットを振るのではなく、3か所のゲージうち2か所はランナーを想定した打撃練習を行う。

 真ん中のゲージではランナー三塁を想定して、ゴロが転がった瞬間ランナーがスタートする「ゴロGO」を行うために、徹底してボールを転がす練習をする。

 そしてマウンドから向かって左側のゲージでは、ランナー二塁を想定して、相手のウイニングショットを捉えて得点を奪う練習を行っている。ここではマシンではなく、チームの投手が打撃投手として立ち、自らのウイニングショットをどんどん投げ込んでいくのだ。

 この打撃練習では、二塁と三塁にはランナーがついて走塁練習も兼ねており、三塁ランナーは「ゴロGO」の、二塁ランナーは1本でホームへ帰るための練習を繰り返し行っている。
 そしてこれは打撃練習の打球と連動しており、打球がホームへ返れるものでなければ帰塁や状況判断を行う。

 ホーム付近では、住吉監督が駆け抜けるタイムを毎回計測しており、選手たちは0コンマ1秒の戦いを日々繰り返す。中には、三塁からホームまでの距離で3.10秒を切ってくる選手もおり、こうした練習を続けることで選手たち走塁への意識、1点をもぎ取る意識を高めているのだ。

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