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ライバル・近江を倒し選抜へ 部員の9割が寮生の滋賀学園にとって「組織力」とは?【後編】

2020.09.24

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不完全燃焼で終わった夏 聖地を目指す滋賀学園の今年のキーマンたち【前編】

強敵・近江の存在

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滋賀学園の練習風景

 滋賀学園打線の強力なライバルになりそうなのが近江山田陽翔(1年)だ。大津瀬田ボーイズ時代から名を馳せた逸材で、夏の独自大会でも3試合に登板して、7回無失点と力を見せつけた。

 滋賀学園も3年生が準決勝で山田と対峙したが、3回で6三振を奪われた。ベンチから試合を見つめていた阿字は「自分より上だと思った」とその実力を認めている。

 県内に素晴らしい投手がいることは、脅威でもあるが、県全体のレベルアップにもつながると山口監督は考えている。

 「好投手を打ち崩すというのは良い目標になりますし、ウチだけじゃなくて、打倒・山田で滋賀県のレベルが上がるのは間違いないと思います。滋賀県の野球のレベルがどんどん上がって、一強の近江をどう倒すか、倒した後に全国にいってどれだけ勝負できるかというのは自分のチームとしても楽しみです。滋賀県勢としても近江を破ったチームが全国に行くわけですから、期待の持てるチームになるのは間違いないかなと思います」

 滋賀県は県内公式戦30連勝中の近江による一強状態が続いている。滋賀学園も準決勝や決勝で敗れ続けており、大きな壁となっているのが現状だ。「滋賀県の野球界をリードしている学校なので、追いつけ追い越せで、その一番手になりたいと思っています。おこがましいですけど、ライバル関係にはあるかなと思います」と山口監督は打倒・近江に意欲を燃やしている。

 秋季大会は決勝まで対戦しないため、近江に勝たなくとも近畿大会に進むことができるが、苦手意識を払しょくするためにも対戦した際には倒しておきたいところだろう。

 強打が看板のチームだが、秋の大会に向けては、「ピッチャー中心になってくる大会だと思うので、バッテリーを軸にしながらエラーやケアレスミスがない戦い方をしたいと思います。一戦勝つごとにチームは勢いもついてくるし、力もついてくるので、チームの流れも大事にしていきたいと思います」と守りを重視した野球になると山口監督は考えている。

 昨年の秋は初戦で隼瀬一樹(3年)を擁する伊香に0対1で敗れている。「誤算というよりも力不足です」と振り返るが、同じ轍を踏まないためにも1点を大事にする戦いをしていきたいところだ。

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近畿大会、そして選抜へ組織力で挑む!

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滋賀学園の練習風景

 また、チーム作りにおいて重視しているのが組織力だ。今年の3年生は全体的に大人しい選手が多かったこともあり、独自大会では「元気出し要員」として声でチームを盛り上げる選手を3人ベンチ入りさせるなど、プレー以外での貢献度も滋賀学園では重視している。

 「自分がどうアピールして、活路を見出すのかというのは常に言っています」(山口監督)とレギュラーになれなくても、チームに貢献する方法を説くことで、選手たちは腐ることなく、活気を持って練習に取り組めている。

 そして、組織力作りに一役買っているのが寮生活だ。大阪、東京、沖縄など県外から入学してくる選手が多いため、9割以上の部員が寮生活を送っており、山口監督も選手と同じく寮に住んでいる。寮生活のメリットについて、山口監督はこう話す。

 「同じ屋根の下で生活することで性格を把握できますし、気になった点をその場で解決できます。衣食住を共にすることで一体感はありますね」

 何か気になった点があれば、寮内で選手を集めてミーティングをすることができる。大半の時間を共にすることで、コミュニケーションを多くとれるのも寮生が多いチームの強みだ。

 沖縄県出身の知花優摩主将(2年)も寮生活を送っている。中学時代はOBの宮城滝太(DeNA)と同じ読谷ボーイズに所属していた。入学当初は言葉の壁に戸惑うこともあったが、ガツガツした気質のある近畿出身の選手と過ごすことで、「競争心がだんだん出てきた」と成長を実感している。

 「沖縄から親元を離れて滋賀県に来たからには甲子園に行かなければ、沖縄に帰れないくらいの気持ちでいます」と甲子園に懸ける想いは強い。

 近畿大会で4強入りして、センバツの切符を確実にするのがこの秋の目標だ。近畿大会するには決勝進出が前提。準々決勝進出を果たした滋賀学園は、26日に彦根翔西館との対決を迎える。

(記事=馬場 遼

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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