第1035回 強い公立校を実現していく市立川越 新たな思いでスタートした新チーム【前編】2020年09月03日
【目次】
[1]新たな思いでスタートした新チーム
[2]「公立校としては恵まれている方」打撃練習では投手陣フル活用でカウント設定
誰もが経験したことのない特別な夏を経験することになった2020年夏の高校野球。埼玉県で公立の雄として毎年好チームを作り上げていき浦和学院、春日部共栄、花咲徳栄、聖望学園といった甲子園で実績のある私学の強豪校を脅かしてきた市立川越も、“特別な夏”は同じだった。
新たな思いでスタートした新チーム

道具を体の一部として扱うために一人一本バットを持ってアップを行う
「今年は、たまたま3年生がちょうど20人でマネージャーが1人だったんだよね。だから、夏の甲子園が中止になって、埼玉県で独自大会をやるっていうことになった時に、夏は3年生だけで戦うということを宣言しちゃったんだよね。本当は、チームとしては、下級生(2年生)が何人か入っていて、それが刺激になってチーム力が上がっていくという形がいいんだけれども…。そうもいかない状況になっちゃったからね」
新井清司監督のこの夏の埼玉県独自大会へ臨む思いだった。
結果としては、3回戦で武蔵越生に敗退してしまった。当初の目論見としては、西部地区決勝、そしてあわよくば4強対決のメットライフドームでの戦いまで進みたかったというのは本音だが、そうもいかない状況だったという。
また、7回制での戦いという点でも、「序盤でリードされて、早めに追いつけなかったら、5回過ぎたらもう終盤だもんねぇ。負けている方は、焦りますよ」
結局そんな戦いで夏は敗れ去ることになったのだった。
この夏は、オール3年生で戦わざるを得なかったということでの影響は、新チームをスタートした時にも多少なりともあったという。
「毎年、秋の新チームっていうのは、何人かの夏の経験者を核にしてチームを作っていくんだけれども、今年はそれが誰もいないからねぇ。だから、チームとしての柱という価格ができていないんですよ。(多少のイメージは出来てはいるけれども)まったくゼロの状態ですよ。
それに、チームそのもののスタートだって、(夏の独自大会開催が8月からということになったこともあって)例年に比べて遅くなっているからね。しかも、夏休みも短くなっていて2週間くらいしかなくて、もう25日からは二学期が始まりましたからね。
チームとしての練習試合なんかも、県外のチームの遠征がままならない状態でもあるから、予定していた試合も中止になったりもしていますから、夏休み中には2~3試合しかやれていない状況ですよ。その上に、5月~6月での身体づくりも出来ていないからねぇ、どうしたってけが人も出てしまうし…。投手陣だって、大事なところで投げ込んで作っていっていないからね」
そんな、新井監督の嘆き節は止まらない。
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- 手束 仁
- 生年月日:1956年
- 出身地:愛知県
- ■ 経歴
愛知県知多市出身。半田高→國學院大81年卒。大映映像事業部など映像会社で、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションに10年勤務後独立。
99年に『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け、を刊行。同年に『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社・刊)で本格的にスポーツ作家としてデビュー。99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、『ふたりの勇気~東京六大学野球女子投手誕生物語』、『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)などを相次いで刊行。さらに話題作となった『甲子園出場を目指すならコノ高校)』(駿台曜曜社)、『野球県民性』(祥伝社新書)、『プロ野球にとって正義とは何か』、『プロ野球「黄金世代」読本』、『プロ野球「悪党」読本』(いずれもイースト・プレス)などを刊行。
さらには『高校野球のマネー事情』、『スポーツ(芸能文化)名言』シリーズ(日刊スポーツ出版社)、『球国愛知のプライド~高校野球ストーリー』などがある。
2015年には高校野球史を追いかけながら、大会歌の誕生の背景を負った『ああ栄冠は君に輝く~大会歌誕生秘話・加賀大介物語』(双葉社)を刊行し18年には映画化された。
スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」、専修大学で「スポーツジャーナリズム論」などの特別講師。モノカキとしてのスポーツ論などを展開。
その他には、社会現象にも敏感に、『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)なども刊行。文学と社会風俗、学校と教育現場などへの問題提起や、時代と文化現象などを独自の視点で見つめていく。 そうした中で、2012年に電子メディア展開も含めた、メディアミックスの会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。新たなメディアコンテンツを生み出していくものとして新たな境地を目指している。 - ■ 著書
『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社)
『甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)
話題作となった
『甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
『スポーツ進学するならコノ高校』
『東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
『三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
『スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
『高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
『野球県民性』(祥伝社新書)
『野球スコアつけ方と分析』(西東社)
『流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW! - ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
- ■ 手束仁 Official HP:熱中!甲子園
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