Column

「感謝」を掲げて大会に臨む創価。持ち味の守備力を取り戻して東京の頂点狙う

2020.07.31

 昨夏の西東京大会では決勝で國學院久我山に敗れ、あと一歩のところで甲子園出場を逃した創価。昨秋も準決勝で帝京に逆転負けを喫するなど、現在の3年生は苦杯を味わい続けてきた世代だ。

 今年はエースの森畑侑大を中心にレベルの高い選手が集まっており、夏季東西東京都高校野球大会では注目校の一つと呼ばれているが、「甲子園出場」の目標が無くなった今どんな思いを持って大会に臨んでいるのだろうか。チームの思いに迫った。

苦しみの中で掲げた「感謝」のスローガン

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ティーバッティングをする選手たち(創価)

 「正式な発表の前から甲子園中止の報道も少し出ていて、3年生ともこのままもしかすると中止になるかもしれないと話していました。
その後代替大会も決まりましたが、大会に向けてやっていけるのか、最後まで3年生らしい背中を見せることはできるのか、選手たちとはたくさん話をしました」

 創価の片桐哲郎監督は、活動自粛の期間を「選手の成長を感じた期間」と振り返る。

 コロナウイルスの影響で活動休止を余儀なくされた選手たちは、オンラインを通して何度もミーティングを重ねたという。
夏の甲子園の中止も決まり、片桐監督はモチベーションの上がらない選手を励ます中で、夏の大会を戦う意義を選手たちに問いかけてきた。

 精神的支柱である河合圭聖主将も「初めは落ち込んだ」と思わず口にするが、その中で選手たちがスローガンとして掲げたのが「感謝」の言葉であった。

 「練習ができない間に、様々な感謝に気付くことができました。グラウンドで練習ができる感謝であったり、親への感謝、他にもみんなが色んな感謝に気付くことができたので、その感謝を持って大会を戦おうと決めました。
3年生みんなで話して、そこからチームは立ち直ったように思います」

 サブタイトルには「play for someone」をつけた。
ニュアンスとしては「somebody」が相応しいが、「ONE TEAM」、そしてナンバーワンを目指す思いも込めて「someone」を採用。

 選手たちの決断に片桐監督は「胸が熱くなった」と話し、精神力の強さを称えた。

 「私が高校生だったら、この状況で乗り越えられるのかなと思いました。
苦しい中でもそういった気持ちを持てる今の選手は、本当に素晴らしいなと思いましたし、選手から学ばせてもらったなと感じています」

[page_break:実戦練習も多く行ったオフシーズン]

実戦練習も多く行ったオフシーズン

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ノックを受ける選手(創価)

 そんな今年の創価は、エースの森畑を中心に、守備からリズムを作る野球で夏の東京都の頂点を目指している。

 守備力を持ち味に選抜甲子園出場を目指した昨秋は、強みであるはずの守備から崩れ、準決勝で帝京に逆転負け。
敗戦を踏まえて片桐監督は「最後まで戦い抜く強い心と体」が大事であると痛感した。

 この冬は通常のウエイトトレーニングに加えて、紅白戦などの実戦練習も多く行い、イニングを想定した細かい練習も多く積んできた。

「例えば9回を想定した声掛けや、苦しい場面での声掛けなど、どうすれば勝ち切ることができるのかみんなで考えながら守備練習をやってきました。
そういった細かい点も意識しながら、実戦練習を多く行ってきました」(河合主将)

 また、活動自粛の期間がプラスに働いた面もある。
練習が再開した際、どの選手も体格が一回り大きくなって戻ってきた。

 チームとして増量を掲げ、片桐監督が体重を管理していたことも要因の一つだが、それ以上に選手の一人一人が意識を高く持ち続けたことも要因の一つだと河合主将は明かす。

「帰ってきた時は体つきだけでなく、顔つきも3年生は変わっていました。みんな夏に向けて、強い思いを持ち続けていたんだと実感しました」

 チームとして目指すのは、西東京大会の優勝、そして西と東の優勝チーム同士で行われる対抗戦での優勝だ。河合主将は、感謝の気持ちを持ち続けて優勝まで駆け上がりたいと強い意気込みを語った。

「やっぱり感謝という言葉をチームスローガンに決めたので、感謝の気持ちを表現できるような大会にしていきたいです。
課題だった守備を一戦一戦しっかりとして、絶対に優勝してお世話になった人たちに感謝を伝える大会にしたいですし、西と東の対抗戦もあるので東京ナンバーワンになりたいと思います」

 創価は7月26日に初戦を迎える。
選抜出場予定だった国士舘日大三東海大菅生早稲田実など、西東京は強豪校がひしめくが、その中で創価がどんな戦いを見せるのか注目だ。

(取材=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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