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2020年の常総学院は一條力真、菊地竜雅のダブルエースだけではない。投打に魅力的な選手が大会に臨む!【後編】

2020.07.17

 2001年センバツ、2003年夏の甲子園優勝経験があり、その後も甲子園に何度も出場し、茨城きっての名門・常総学院。新型コロナウイルス感染拡大の影響による緊急事態宣言が全国に拡大されたことで、まとまった全体練習ができない日々が続いた。5月18日から全体練習が再開され、夏の独自大会に向けて調整する日々である。現在は強豪校との練習試合が続き、総仕上げに入っているが、ここに至るまで細部までこだわった練習内容があるといっても過言ではない。

 今回は常総学院の注目選手について紹介していく。

2020年の常総学院は一條力真、菊地竜雅のダブルエースだけではない。投打に魅力的な選手が大会に臨む!【後編】 | 高校野球ドットコム前編はこちらから!
力強さとしなやかさを備えた選手を作り上げる常総学院の練習メソッド【前編】

今年は守り勝つチーム。一條、菊地以外で好投手が続々

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一條力真(常総学院)

 例年、茨城のトップを走る常総学院。今年は150キロ右腕・菊地竜雅、最速146キロ右腕・一條力真と能力が高い投手が揃っている。ただ今年の常総学院はそれだけのチームではない。

 前チームは高校通算58本塁打の菊田 拡和(巨人)を筆頭にスラッガー揃いのチームだった。しかし今年は走攻守三拍子揃った選手たちが一條、菊地の脇を固め、守り勝っていくチーム。昨秋の県大会では1試合の最多失点はわずか2という抜群の安定感で関東大会まで勝ち上がった。

 しかし関東大会の健大高崎戦では逆転負けを喫した。

「菊地の調子が上がらず、一條もこの試合では詰めの甘さを残し、試合を落としてしまいました。選手たちはこの悔しさを忘れずに冬の練習に取り組んできました」

 また主将の中山 琉唯にとっても痛恨の試合だったと振り返る。

「自分も含めて、チームとしてやることが徹底されていなくて、それができなくて悔しかったです」

 冬では体作りや個々のスキルアップに取り組んできた。一冬超えて、伸びてきた選手も多い。まず主力選手について。エースの菊地竜雅は昨秋、関東大会に敗れた悔しさから日々の取り組み、ケアを見直し、さらにプロ野球投手の映像を見直したり、山本由伸投手のジャベリックスローの映像を見て、ジャベリックスローを自ら購入するなど探究心豊かな姿勢でレベルアップ。昨年と比べても制球力、打者との駆け引きのレベルが高まった。

 もう1人のエース・一條も189センチ82キロまで増量し、6月以降の練習試合では最速145,6キロをマークしているという。また正捕手の中山は「まだ2人以外にも良い投手はいます」と語るように、最速141キロの速球に加え、切れのある変化球を内外角に投げ分ける江幡大輝、130キロを超える右腕・市村大翔、左腕・小林優吾など菊地、一條に負担を書けない形で勝負ができる。

 ここまで順調な仕上がりを見せており、本番へ向けて準備が整った。

[page_break:常総学院らしく勝って終わりたい]

常総学院らしく勝って終わりたい

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主将・中山(常総学院)

 一方、野手ではスローイングタイム1.8秒台の強肩・中山は俊足でチームトップクラスの盗塁数を記録する脚力を持っている。打撃も鋭い打球を連発し、勝負強さも光る。また12キロ増量の石川は7月5日の水戸葵陵戦で対外試合初本塁打を放ったが、そうとは思えないほどのパワーがあり、独自大会では勝負強い活躍も期待できそうだ。

 そして2013年の常総学院のエース・飯田晴海の弟・飯田徹は、独特のバット捌きで長打量産。三塁守備も軽快で、攻守の潜在能力はチームでもピカイチだが、練習試合では不調気味で、佐々木監督も「飯田が戻ってくれば」と復調を期待する。

 チーム一の打撃センスと評されるのが左打者の小木曽星音はスイング軌道が滑らかで他の打者では対応できないコースも捌いて長打に出来る技術の高さがある。水戸葵陵との練習試合ではインコース気味のスライダーを手元まで呼び込んで、右肩が開かず、インサイドアウトのスイングで打ち込んだ打撃は見事だった。外野では強肩巧打のセンター・吉成 隼と、野手も人材が揃う。

 今回の常総学院は3年生全員がベンチ入りする。出場しない1,2年生も優秀な選手が多い。だからこそ佐々木監督は3年生へ心構えを求めている。

「3年生全員が入るからこそ、どうしても気持ちの緩みが見えるところがありました。控え中心の3年生が出ると苦しい試合展開になることが多いんです。だけれど、レギュラー選手が出ると、しっかりと打ち崩せる。見方を変えれば、主力選手の仕上がりは良く、自覚している証拠だと思います」

主力選手の心構えを他の3年生にも求めている。

 大会も近づき、初戦の相手は古豪・取手二に決まった。最後に主将の中山はこう意気込んだ。

「3年生でできる最後の大会なので、野球を楽しみつつ、常総学院の野球をして最後は優勝して終わりたいと思います」

 これまで悔しい負けを味わってきた常総学院ナイン。独自大会優勝を果たし、後輩たちへ良い形でバトンを渡していく。

(取材=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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