目次

[1]古島医師からの進言から始まった投手改革
[2]球数制限は選手の思考力を高める


 2011年夏に初めて甲子園出場を果たした健大高崎。選抜3回はすべてベスト8以上、夏3回とも一勝以上しており、通算13勝6敗と、驚異的な勝率を誇る。健大高崎は走塁で相手をかく乱する「機動破壊」で大きなインパクトを残した。今の健大高崎は機動力だけではなく、投手育成にも力を入れ始めた。

 その結果、新2,3年生の投手17人のうち140キロ超えが7人。ほとんどが130キロ~130キロ後半を投げるレベルにまでに達した。投手王国を目指そうとしている健大高崎の改革に迫る。

古島医師からの進言から始まった投手改革


 機動破壊で有名になった健大高崎。まずオフェンス面から優先的に力を入れたように、プロ入りした選手を振り返ると、野手が多い。2014年の脇本 直人(元千葉ロッテ)、2017年の湯浅 大(巨人)、2018年の山下 航汰(巨人)、また東北福祉大学を経由した長坂 拳弥(阪神)、Honda鈴鹿を経由した柘植 世那(埼玉西武)。投手のプロ入りは三ッ間卓也(中日)しかいない。

 だが、まったく好投手がいないわけではない。2017年選抜出場の小野 大夏(Honda)は高校時代、145キロ右腕だったが、今では150キロを超える速球派右腕へ成長し、ドラフト候補に挙がる。過去に健大高崎を指導していても、投手のメカニック、分業制にこだわっているチームだった。

 転機となったのは2019年。健大高崎は慶友整形外科病院でスポーツ医学センター長を務め、「球数制限」の議論をめぐって、メディアからも注目されている古島 弘三医師からアドバイスを受け、3時間の講義を受けた。

 青柳監督をはじめとした、健大高崎スタッフは古島医師のアドバイスを受け入れ、方針を転換した。
・1週間の球数は100球以内
・土日の練習試合の登板日は事前に決定
 ・連投は原則禁止

 このルールで、1週間、選手はそれぞれで投球練習の球数を決め、それ以外は初動負荷トレーニング、ウエイトトレーニングなどを行い、登板日にベストの力を発揮できるように調整を行う。球数は生方啓介部長が管理。その結果、故障がほとんど減ったという。

 この方針の狙いは選手自身が実力を発揮できるように、自ら考えて取り組まないけない点だ。指導者に縛られない分、楽ではある。しかし結果を出さなければ、すぐにBチームに振り分けられる。現在、エースを務める左腕・下 慎之介
「常に結果を出さないといけないプレッシャーはありますし、それぐらいレベルが高いです」と語る。また球数制限をすることで投球練習の考え方が変わってきた。