グラウンドを最大限に使うことが堅い守備と強力な投手陣を生み出す 中京大中京【前編】
明治神宮大会優勝の中京大中京。最速148キロ右腕・高橋宏斗、大型遊撃手・中山礼都、大型捕手・印出太一と多くのタレントが揃っており、少ない失点、失策、高い得点力と、数字面から出場校の中でも抜きん出たものがある中京大中京。
今回は強さを発揮する選手たちの実力をいかに伸ばしているのか、中京大中京の1日の練習の密着し、感じたことをレポートしたい。
練習時間は3時間程度。だからこそ質にこだわる
アップ中の体操(中京大中京)
中京大中京は全国クラスの名門校ということで、全国各地から逸材が集まるというイメージはあるが、実はそうではなく、二塁手・中嶌優のように名古屋に近い三重県桑名から来ている選手もいるが、基本的に愛知県出身。豊田市出身のエースの高橋も学校まで1時間半かけて通っている。下宿生はほとんどいない。
グラウンドは野球部全面使えず、取材日では女子の野球部が練習をしている。
練習時間は16時開始から3時間程度。そんなに長い時間をかけて行うことはないのだ。それでも選手の力量を伸ばすことができているのは、練習の質を最大限に求めているからだ。
グラウンドのスペースを最大限使う
高橋宏斗(中京大中京)
アップの後、キャッチボール。そこから投手、野手に分かれて練習を行う。野手は外野で、3グループに分かれてボール回し。投手は強めのキャッチボールを行う。無駄なく効率よいボール回しで、中京大中京の素早い連携プレーは築かれる。
投手は20メートルぐらいの距離で、ピッチングと同じフォームで投げる。147キロ左腕・松島元希は、
「シュート回転しないように、真っすぐの軌道で投げるように心がけています。シュート回転してしまうと、どうしてもボールの軌道に無駄があったり、体の使い方にも無駄があるということなので、その点は気を付けています」
そこから投げ込まれるキャッチボールは非常に強く、真っすぐに伸びていく。こうした1つの積み重ねが好投手を作り上げる。ちなみに神宮大会期間中、松島は他校の投手からボールを速くするにはどうすればいいのか?と聞かれ、この練習法を教えたそうだ。
[page_break:中京大中京の堅い守備を築き上げた「捕球練習→ノック」の流れ]中京大中京の堅い守備を築き上げた「捕球練習→ノック」の流れ
捕球練習(中京大中京)
東海大会では24イニングでわずか1失策、明治神宮大会3試合25イニング無失策と鉄壁の内野守備を誇る中京大中京。その堅守の秘訣は目的意識の高い守備練習の積み重ねにあった。
ボール回しが終わって、すぐにシートノックに入る。シートノックは全員が入るものではなく、まずは外野手が入る。学生コーチ、コーチがノッカーとなり、ライト、センター、レフトへ次々と打球が撃ち込まれ、練習を繰り返す中、内野手は2人1組となって、捕球練習。ゴロを転がして、片手捕球、捕球してからのグラブトスなど多くのドリルを行う。中京大中京の高橋監督は神宮大会優勝の要因としてエラーをしなかった堅い守備を理由に挙げた。
「内野リーダーの中山を中心に捕球することにこだわって練習してくれたのが大きかったです」と語るように、中山は「毎日行っている練習ですが、非常に身になっています」
そこから内野ノックに入るが、中京大中京はどうすれば日々の守備練習の成果を挙げることにこだわっている。ノック以外では捕手は一塁ベンチ側でマシン相手にキャッチングの練習やスローイングの練習を行っており、ここでもスペースをまんべんなく使って練習に取り組む様子が見られる。
また東海大会優勝したことによって選手の成長スピードを速くするきっかけにもなった。
明治神宮大会に出場した際、大学野球のグラウンドを借りて、練習をするが、縁があって、守備指導に定評のある国学院大・上月健太コーチの指導を受けたことも、さらに守備のレベルを高めている。
中嶌と中山の2人が学んだのは守備動作だけではなく、二遊間の連携だ。どう呼吸を合わせるのか、そのコツも教わった。元から相性は良いと笑う二遊間コンビ。高いレベルの教えが入り、中京大中京の守備はさらにレベルが高いものとなっている。
前編はここまで。後編では強打の秘訣と練習時間以外にしていることを伺いました!後編もお楽しみに!⇒(後編を読む)
(取材・河嶋 宗一)
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