31年ぶりの甲子園出場から2連覇した土浦日大(茨城)が最重要視するもの【前編】
茨城県かすみがうら市に専用グラウンドを持ち、近くには寮や雨天練習場など充実の練習設備を持つ土浦日大。
1974年には春夏連続出場。1986年にも甲子園に出場したが、それからも県内では強豪校として君臨していたが、甲子園から遠ざかっていた。名門復活を託されたのが、下妻二で二度甲子園に出場を導いた小菅勲監督である。
2016年4月から監督に就任した小菅監督は、2017、2018年には2年連続で甲子園に出場した実力校として茨城県内で存在感を示し、見事に復活を遂げた。
そんな土浦日大の今を知るべく、監督や選手たちから話を聞くべく、グラウンドへ向かった。
2年連続の甲子園出場で財産になったもの
キャップを打っている土浦日大の選手たち
「2年連続で甲子園に行けましたが、若干勢いの部分もありました。ですので、連続出場するだけの本当の力はないのかなと」
2017年、そして2018年の2年連続で夏の茨城代表となった土浦日大。チームを率いる名将・小菅勲監督はその2年をそのように語った。しかし、「チーム全員が甲子園のレベルを実感できている」ことは財産として残っている。
今年のチームを引っ張る五十嵐明斗主将は「甲子園に行った先輩たちは、細かい部分まで目的とこだわりをもって練習をしていました。そういったところは自分たちも受け継いでいます」と話す。
するとエースの中川竜哉も「1年生の時に甲子園に行ったときは、周りの選手よりも体が小さかったので『体で負けないように大きくしたい』という話を先輩から聞きました。なので、自分たちも意識して体を大きくしようとチームで意識しています」と語るように、選手1人1人が、全国クラスで戦うことを想定して練習に励んでいる。
基本を重視する姿勢は取手二の甲子園優勝で認識したから
1年生捕手・菅野樹紀
改めて小菅監督は基本の重要性を選手たちに認識させている。その中でも動体視力を鍛えるためにキャップ打ちなど変わった練習もあるが、「奇をてらった練習ではなく、基本をしっかりやること」を非常に大事にしている。1年生捕手の菅野樹紀の話を聞くと、基本へのこだわりが見えてきた。
「入学したときはキャッチボールを1時間くらいやりました。ボーイズやシニア出身の人もいて上手く選手ばかりが集まっているのですが、みんなそれぞれ自分の形でやっていたんです。だから、ボールを手で転がすところから始めたりしました」
五十嵐主将も「『捕球がしっかりしていないと守備が始まらない』ということで、素手でボールを捕ってスローイングまでの一連の流れをやったりもしました」と菅野の話に同調する。
また、「どんな練習でも1つのプレーを見逃さず、1つ1つこだわりを持ってとことんやって突き詰める。入学したときは『凄い』と思いました」と五十嵐は続けて語ったが、では小菅監督が基本を徹底する理由は何なのか。それは1984年、取手二の主力選手として甲子園優勝したことが関係している。
「取手二時代に運よく甲子園で勝たせてもらえて。その時に『しっかり基本をやることが大事なんだ』と思ったんです。特別なことをやらずに、1球を大事にする。そうすることで結果が出たという実体験ができたからなんです」
さらに取手二時代の監督の木内幸男氏の存在も現在の指導スタイルに大きく影響していた。
前編はここまで!後編では甲子園に出場するための課題などに迫っていきます!⇒(後編を読む)
(文・田中 裕毅)
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