敢えて高い目標から始まった新チーム・鹿児島高校(鹿児島)【前編】
1963、67年に夏の[stadium]甲子園[/stadium]に出場して以来、50年近く[stadium]甲子園[/stadium]から遠ざかっている鹿児島。近年は、2017年に決勝で神村学園に、続く2018年は準々決勝で鹿屋農に敗れるなど、[stadium]甲子園[/stadium]の後ろ姿が見えている位置につけている。現在の、2年生・1年生はそんな悔しい試合を見て鹿児島に入学を決めてきた選手たちだ。[stadium]甲子園[/stadium]に戻るために、何を考え、そしてどのような行動をしているのか?上之薗 大悟監督のインタビューを通して鹿児島の現在地に迫りたい。
敢えて高い目標から始まった新チーム
上之薗 大悟監督(鹿児島)
先述したように、鹿児島は2017年には決勝に、2018年にはベスト4に入るなど夏に標準を合わせチームを作り上げてきた。このことについて上之薗監督も
「去年・一昨年は、夏に勝つために、夏までにチームを作っていくぞと子どもたちに言っていた」
と話している。あと一歩のところで[stadium]甲子園[/stadium]に届かなかった。だからこそ、上之薗監督は、敢えてすぐに始まる秋季大会における高い目標を選手たちに伝えた。
それが「選抜出場」である。
このことが何を意味するのか?それは、秋は負けずに勝ち進む!という意思表示なのである。新チーム発足と同時に鹿児島は「選抜出場」がチームの目標となった。
その真意について上之薗監督は、
「まだ力がないですけど、「とにかく選抜を目指して頑張ろう」と声がけをしています。この子らが高い目標を与えてどのように行動してくれるのかなぁと期待しています」
と語った。夏の長期目標のもとチームを作り上げてきた鹿児島は、今年は長期目標の中に短い期間でのマイルストーンも設定した。
チームの主将である、奥翔太も
「選抜に出場するというのはチームの目標としてあります」
と迷いなく話してくれた。
指導者そして選手が同じ方向を向いて、すぐに迎える秋季大会の明確な目標を胸に新チームは始動したのである。
[page_break:成功体験に縛られない強さ]成功体験に縛られない強さ
鹿児島情報戦 マウンドに集まる鹿児島ナイン(撮影:政純一郎)
「選抜出場」を掲げた鹿児島、結論から言うと1回戦で敗れた。初戦から強豪校同士のカードとなった鹿児島情報との一戦は、鹿児島が6回まで試合を優位に進めるも7回に逆転を許し敗退した。
では、この長期の目標の中に高い中間目標を置いていく新しい試みは失敗だったのだろうか?
答えは夏になるまではわからない。ただし一つ言えることは、夏に確実に結果を残してきたチームが、更に進化を求め方針を変えた点である。
ともすれば成功体験に縛られてしまうが、鹿児島は変化を求めた。現状に満足することなく上を目指すと宣言したのである。
そして、もう一つ強調したい点がある。それは、この変化は上之薗監督だけが考えているのではないという点だ。主将の奥、副主将の鶴田 康太も同じ目標を口にした。チームが同じ方向を向けているのも鹿児島の強みだろう。
指導者・選手たちが同じ方向を向いて、成長のために変化を選んだのである。この点において、鹿児島は大いにポテンシャルを感じるチームなのだ。
前編はここまで!後編では、上之薗監督の指導論に迫ります。
(文:田中 実)