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知識と技術の引き出しを増やし、黒坂流で悲願の甲子園を目指す!昌平(埼玉)【前編】

2019.07.16

 埼玉県北葛飾郡杉戸町に所在し、サッカー部が全国的な強豪として有名な昌平

 昨年の夏、第100回北埼玉県大会で春日部共栄を破ってから勢いに乗り、史上最高のベスト4入りを果たした。この春も県大会ベスト8入りし、絶対的な優勝候補がいない今年の埼玉県では優勝を狙える位置にある。
 そのチームを率いる黒坂洋介監督はいかにして、優勝候補と呼ばれるチームに育て上げたのか。その中身に徹底的に迫る。

心は熱く、頭は冷静に昌平野球

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黒坂洋介監督

 黒坂監督のチーム作りの基礎は「豊富な知識と技術」。
この二つが基礎となり選手たちに教えを説いていく。その中でも、知識には力を入れており、その重要性をこう語る。

 「ピンチの場面で気持ちで負けるなという声がよく飛び交いますが、気持ちも大切。でもそれはナンセンスで、『豊富な知識がピンチを救う』これが一番だと現役時代から思っていました。知識がないやつに配球やポジショニングを考えて野球は出来ません」。

 この原点は、シダックス時代の野村克也監督の教えからきている。

 それに加えて、技術も教えていかなければならない。
「なんでそんなことも出来ないだ」と指導者や仲間が言うのは時代遅れ。出来ない選手を出来るようにさせてやるのが、指導者の役割。それは昌平の監督に復帰する前、少年野球のコーチをしていたことが今に生きていると実感している。

 現在は、選手たちの知識と技術の引き出しを増やさせるように指導することを心がけている。旧チームではとにかく時間が無かったので、一方的に提示するだけで選手の意見を吸収することが出来なかった。しかし、今年のチームは主将の佐藤克樹を中心に座学を増やし、選手の意見も吸収しながらチーム作りを行ってきたと話す。

 旧チームからエースを担ってきた米山魁乙や4番を務めた渡邉翔大など、多くの主力が残った新チーム。そして迎えた東部地区大会の代表決定戦では、花咲徳栄に1対8と完敗。安定して上位へ進む花咲徳栄との差を痛感した。

 「上で結果を残すチームとは、力の差があると選手は痛感したと思う。一球に対する声や集中力がウチにはなかったですね。特にミスショットはほとんどなく、痛打されたことで現状の力の無さを知る機会になりました」。

[page_break:例年とは違ったオフの過ごし方]

例年とは違ったオフの過ごし方

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真剣な表情で話を聞く昌平ナイン

 この時点で年内の公式戦を終えてしまい、長い冬に入るのが例年の流れ。
 実戦経験を積むため、シダックス時代の同僚でもある米澤貴光監督(関東一)との縁で、2005年から三重県熊野市で開催される「くまのベースボールフェスタ」に参加することになった。毎年、秋に早めに負けてしまうと目標を失い、モチベーションを維持するのが難しくなりがちだが、この機会が功を奏した。

 名目上は大規模な練習試合ということだが、関東一健大高崎敦賀気比など甲子園常連校との戦いに昌平ナインは燃えた。結果は、敦賀気比大府近大高専に勝利し3勝1敗と好成績を残して自信に繋げる形となる。

 オフ期間は、基本動作の繰り返しや座学での理解をより深めた。
 バッティングフォームは特に型にはめずに、基本動作が出来ていればいいのが黒坂流。リストの使い方や下半身の使い方を今一度、徹底させることにこだわる冬に。座学では、傾向と対策を主に行い、打てなくても点が取れるチームに仕上げていった。

 黒坂監督の根底には、「今に見とけよ」の精神。昌平には、全国でも指折りの強豪サッカー部が存在する。他にも強豪と呼ばれる部活が多々存在し、良い刺激になっている。

 「うちは今年で創立40周年の年。本当は、甲子園に出ていないとおかしいんですよ。周りからは、あとは野球部が結果を残すだけという声が何度も飛んできました。サッカー部やバスケットボール部などは常に全国に出場しているんです。私の中では、今に見とけよと常に思っていますよ」と心境を打ち明けた。

 前編はここまで。後編では夏に向けた取り組みや夏のキーマンを中心に伺います。後編もお楽しみに!

(取材・編集部

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第101回 全国高等学校野球選手権 埼玉大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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