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4年連続夏初戦敗退から一転!銚子商(千葉)を蘇らせたチャレンジャー精神【前編】

2019.07.16

 千葉県をリードしてきた伝統校といえば、習志野銚子商。どちらも全国優勝を経験し、その後も甲子園出場をかけて何度も争い、県内のレベルを底上げしてきた。夏12回、春8回の甲子園出場を誇り、夏の甲子園25勝は全国で24位に入る。そんな銚子商は初戦敗退などもあり、苦しい時期があったが、今年は秋、春で二季連続でベスト4に入り、復活の兆しを見せている。

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失敗を恐れない姿勢を

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練習中の銚子商の選手たち

 「最初、彼らを見た時、失敗を怖がっているように見えました」
 と話すのは2017年4月から就任3年目となる澤田監督だ。過去の実績から常勝を義務付けられている銚子商だが、2013年から4年連続で夏は初戦敗退。勝たないといけないという焦りが、本来の力を出せずにいた。そこで澤田監督は選手へこう呼びかけた。
 「高校生ですので、萎縮させてはいけない。失敗することは恐れるなということを第一に掲げました。勝つことを目指すのは当然なのですが、失敗してもいいから、前向きにプレーしなさいと。今できることをやろうと話したんです」

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澤田監督

 チャレンジ精神。結果を気にしすぎるあまり、赴任した当時の銚子商の選手は相手に向かっていく気持ちを忘れかけていた。澤田監督の言葉により、銚子商の選手は実力を発揮し、2回戦で2016年秋の関東大会ベスト8の中央学院を破り、その後も順調に勝ち進み、ベスト16入り。2018年夏も東千葉大会ベスト16入りを果たした。

 「私は銚子商出身ですが、国際武道大に進み、県立銚子市立銚子で指導者として学んだことを、銚子商で生かすことができたと思っています。今まで銚子商の野球しか知らなかった私ですが、外部に出たことは指導の勉強になりました」

 さらに今年のチームは秋、春と県大会で二期連続ベスト4入りを果たした。秋と春では勢力図ががらりと変わる千葉県においてこの安定感は抜群だ。ただそんなチームについて澤田監督は、「個々の力という点では、2017年、2018年より劣ると思っています。
 ただ、よかったのは、今の3年生たちは勝ち進んでいる先輩たちの姿を見ているので、これぐらいやらないといけない、当たり前の基準が出来上がっていたと思います。今年は歴代の選手と比べても、精神的な強さもある選手も多かったですし、これまでの2年間の結果が良い形で生きていると思います。もし就任してからの2年間、序盤での敗退が続いていれば、今年の実績はないと思います」

 過去2年間の成果が良い形で生きていた。

[page_break:今年の銚子商が大事にする2つのスローガン]

今年の銚子商が大事にする2つのスローガン

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那須翔斗主将

 また主将の那須がうまくチームをまとめていると澤田監督は評価する。
 「私たち指導者から選んだわけではなく、選手から慕われている選手で、彼がやる形となりましたが、本当に頑張っている」

 那須はスタート直後、2つのスローガンを掲げた。「共闘共感」と「闘争心」だ。
 「チーム一丸で戦い、ともに戦いながら同じポジションはライバルという考えになりそうですが、味方として戦うことを大事にして、さらに感じあうことも大切にしました」

 そして秋では上位校には闘争心をもって戦うことを武器にした。
「新チーム当初、相手に戦う気持ちが足らないところがありましたので、追加いたしました」

 結束力を高めるために選手同士のミーティングを常に行ってきた。また、今年のチームについて澤田監督は「後のことを考えず、目の前の戦いを一生懸命戦えるチーム。さらに強豪校になるほど負けてたまるかという気持ちを出せるチーム。それこそが銚子商のユニフォームを背負う上で大事な気持ちなのですが、それを出せるチームでした」

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銚子商の投手陣

 秋では東海大市原望洋を破り、準決勝へ進出した。県大会で戦う中で、那須は澤田監督が話した「結果を恐れない気持ち」を思い出しながら戦った。
 「とても大きい言葉です。結果が出ないときは1人1人消極的になってしまうこともありますが、澤田先生から結果を気にせず、積極的にやると結果は後からついてい来るという言葉をいただくと、気が楽になるといいますか、思い切ってプレーすることはできています」

 今年の銚子商の選手たちは自分たちのことを信じ、そして指導者のアドバイスも信じ、愚直に取り組むことができる。それが秋の躍進にもつながったのだろう。

 準決勝では習志野に敗れてしまった。その反省として那須は「とれるところで点数がとれなかった。大事な場面でも長打を打たれ、そういうところが負けにつながりました」
 春も躍進するために銚子商ナインは冬の練習に入った。

 前編はここまで。後編では冬の取り組み、春の戦いを振り返り、夏への意気込みに迫った。後編もお楽しみに!

(文・河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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