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大隅から甲子園の夢、再び! 尚志館(鹿児島)【後編】~6年ぶり甲子園へ、守り切って周りの期待に応えたい~

2019.07.09

 尚志館が鹿児島高校野球界に偉大な足跡を残したのは2013年春のことである。12年秋の鹿児島大会準優勝、九州大会4強入りを果たし、翌年春のセンバツ初出場を果たした。それまで甲子園出場校は鹿児島市を中心とする薩摩半島で独占していた中、大隅半島初の甲子園という快挙だった。

 あれから6年。鹿児島の甲子園は神村学園鹿児島実樟南と薩摩半島の強豪が再び常連になろうとする気配がある中、この春に県大会4強入りでセンバツ以来となる九州大会出場を果たした尚志館が「大隅から甲子園」の夢を再び現実に叶えようと意気込んでいる。

 後編では上のレベルの学校との対戦で見つかった課題。そして6年ぶりの甲子園を目指す彼らの夏への意気込みを伺った。

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守り負けないこと

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練習中の尚志館の選手たち

 春準決勝では神村学園に中盤打ち込まれ6対12で敗戦。九州大会では福大大濠(福岡)の2年生左腕・深浦幹也を打てず、7回コールド負けだった。南日本招待野球では桐光学園を相手に3点を先取するも中盤でひっくり返され、リリーフに上がったエース谷村然(3年)を攻略することができなかった。

 長元瑛希主将は「上には上がいる」と痛感した。冬場、左投手対策を意識して取り組んだにも関わらず、全国クラスの左腕は全く打てなかった。チーム全体の夏に向けての課題としてはエース福重圭誇に続く2番手、3番手投手の台頭が挙げられる。川﨑虎勇人上之園慶真の3年生右腕2人の奮起に期待したいところだ。

 「戦える力はあると思う」と鮎川監督。県上位、全国クラスのチームが相手でも、渡り合える力はある手応えはつかめた。あとは「精度を上げていくこと」が勝ち切るために必要だ。桐光学園戦、5回表からリリーフした川﨑は、5番打者に初球をレフトスタンドに運ばれた。次打者席で内角高めのコースを素振りしていた相手に、不用意に初球から内角高めの甘いストライクを投げて打たれた。

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地域の期待を一身に背負って6年ぶりの聖地へ

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ランニング中の尚志館の選手たち

 力でねじ伏せられる力のある投手はいないだけに、間の取り方、ストライクの取り方などもう一工夫が必要だ。打線は、ただ打つだけでなく、配球を読んだり、足を絡めていくなど持ち味の打力をより生かせる工夫が求められる。

 強打のチームで打ち勝つためにも「守り負けないことにもこだわりたい」と鮎川隆憲監督は言う。不用意なミスは試合の流れを失い、攻撃にも影響を与えることがある。日頃の練習の中で「守備100%」(長元主将)を掲げ、実戦で起こりうることを想定し、「質の高い練習の量をこなす」ことを意識している。

 勧誘に力を入れ、久々に九州大会に出場したことなどもあって、新1年生は22人が入部。部員も総勢43人になって強豪校らしい活気が出てきた。夏前最後の県大会、NHK旗では初めて決勝に進んで準優勝。夏に向けての自信をつかむことができた。学校周辺を歩いていると「近所の人から声を掛けられる」と長元主将は言う。6年前、大隅から初の甲子園を成し遂げた野球部に対する期待は未だに高いことを実感している。「いろんな人たちが僕たちを応援し、支えてくれている。その想いを背負って夏は戦いたい」と燃えていた。

(取材・政 純一郎

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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