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好投手攻略へ、打撃力、筋力アップを遂げ、激戦・茨城を勝ち抜く!石岡一(茨城)

2019.07.01

 今春、21世紀枠として初の甲子園出場を果たした石岡第一。初戦の盛岡大附戦では9回二死までリードする大健闘を見せた。春の惜敗を糧に、夏へ向かってどんな課題を持って取り組んでいるのか。

センバツは自分の実力を再認識する大会だった

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素振りをする石岡一の選手たち

 石岡一の校内に足に踏み入れると、ところどころにセンバツ出場の横断幕が掲げられ、その余韻が残る。グラウンドでは、長い時間に渡って金属音が響いていた。
 石岡一の目下の課題は、打撃力アップと筋力アップだ。

 取材日に行われた練習はほとんどが打撃練習だった。そして打撃練習の合間に選手は筋力トレーニングに取り組み、練習の合間には補食を摂り、パワーアップに努めている。
 このようなメニューになった背景には、選抜と春の県大会での初戦敗退がきっかけだ。センバツの盛岡大附戦では2得点、県大会の水戸商戦では、好投手・小林嵩からわずか1得点に終わり、改めて打撃力不足が課題となった。

 ただこれは川井監督にとっては想定済みで、センバツ前までは、実戦練習を増やし、冬の練習も守備練習の割合が多く、打撃強化に時間が取れなかった。
 現在は「シフトチェンジをしている最中です」と語る。また、トレーニングに力を入れる狙いはもう1つあり、選手の投げる、走るといった基礎能力を高めたい思いがある。

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捕食を摂る選手たち

 「打撃力が足らないというよりも、今年の選手たちは2年生でレギュラー担っている選手たちが多いですから、甲子園を戦って、他のチームと比べると体力、筋力的なものが足りないと感じました。そのため、トレーニングを重視して、スピード、スローイング能力を高めることができれば」

 今年は茨城県大会ベスト4、21世紀枠として甲子園に出場したが、野手全体の力量は例年より低いと見ている。
 「秋に勝ち上がれたのも、投打が噛み合ったこと。また、エースの岩本大地の力が大きいと思っています。1人1人の個の実力は、例年より低い。だからこそ地力を高めて勝負していきたいと思っています」

 実績に見合った実力があるわけではない。甲子園を経験したことは改めて自分たちの力不足を実感する機会となった。
 強豪校となれば、当然、目標を甲子園出場、全国制覇を掲げる。今年のチームももちろん甲子園出場を目指している。だが、実力は足りないことは明確にわかった。川井監督はその方がチームを作りやすいと語る。

 「ある程度、力をつけると、漠然と甲子園に行けるじゃないかと思うことがあるんですよね。だけれど、今年は甲子園を経験して、明確に力がないことがわかったので、選手は1人1人、課題を見つけて取り組んでいます。だからチーム作りはしやすい」

 この方針に切り替えて1ヶ月。練習試合でも振り込んだ成果が見られている。

[page_break:エース・岩本の負担を軽減できる攻撃力を身につけたい]

エース・岩本の負担を軽減できる攻撃力を身につけたい

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主砲・飯岡大政

 主砲・飯岡大政(2年)は昨秋まで練習試合でもホームランはなかったが、この春から本塁打を打ち始め、現在は4本塁打を記録している。
 「これまでにない飛距離は出ていますし、1つ1つの打球が跳ぶようになっています」と手応えを感じており、酒井主将も「飯岡はケースバッティングでも走者がいる場面ではしっかりとランナーを返す打撃ができる選手で、頼もしい存在です」と2年生4番を信頼している。

 川井監督も「打線の状態は上がっていますし、どんなチームでも4,5点は取れるチームにできれば、岩本の力を考えれば、十分に戦える」と考えている。
 4番打者として期待される飯岡は「春の県大会では、大地さんの調子が悪くて。調子が悪い時にカバーするのが僕たちの役目なのに、それができなくて悔しかったです。だから夏では打って、なるべくコールド勝ちをして、大地さんの負担を軽減できるようにしたいです」と強く意気込んでいる。

 また、夏へ向けて、機動力にも力を入れている石岡一は、練習試合では積極的に盗塁を仕掛けることを行っている。打撃、走塁を高めて、攻撃力を高めていく狙いだ。

 酒井主将は夏へ向けて、
「今年の茨城は140キロを超える投手が多いのですが、甘く入ったストレートをしっかりと逃せる技術を身につけたいです」と高いレベルの打撃を求めている。

 センバツの甲子園は、石岡一ナインにとって甲子園に対する思いを強くした。飯岡は「シートノックに入ったときは足が震えましたし、本当に良い経験ができたと。同時に自分たちは打てず、非常に悔しい思いをしました。だから甲子園に行きたい想いはかなり強くなりました」
 エースの岩本も「打者を抑えるごとに大きな歓声が沸いて、これが甲子園なんだなと思いました。だから茨城県ナンバーワンピッチャーと甲子園出場を目指しています」

 頂点を取る思いは強くなってきている。
 この夏は常総学院藤代水戸商霞ヶ浦とライバルが非常に多く、その道のりは果てしなく険しいが、「公立校らしいしぶとく、粘り強く、強い気持ちを持って戦う事が大事」と川井監督が語るように、土壇場の粘り強さを見せて、この夏も甲子園を勝ち取ってみせる。

【石岡一の練習の様子をギャラリーでチェック!】

あわせてチェック!
自省を繰り返し、高クオリティな速球派右腕へ 岩本大地(石岡一)【前編】
さらなるレベルアップへ。キーワードは「左腕の使い方」 岩本大地(石岡一)【後編】

(取材・河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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