今春、21世紀枠として初の甲子園出場を果たした石岡一。初戦の盛岡大附戦では9回二死までリードする大健闘を見せた。春の惜敗を糧に、夏へ向かってどんな課題を持って取り組んでいるのか。
センバツは自分の実力を再認識する大会だった

素振りをする石岡一の選手たち
石岡一の校内に足に踏み入れると、ところどころにセンバツ出場の横断幕が掲げられ、その余韻が残る。グラウンドでは、長い時間に渡って金属音が響いていた。
石岡一の目下の課題は、打撃力アップと筋力アップだ。
取材日に行われた練習はほとんどが打撃練習だった。そして打撃練習の合間に選手は筋力トレーニングに取り組み、練習の合間には補食を摂り、パワーアップに努めている。
このようなメニューになった背景には、選抜と春の県大会での初戦敗退がきっかけだ。センバツの盛岡大附戦では2得点、県大会の水戸商戦では、好投手・小林 嵩からわずか1得点に終わり、改めて打撃力不足が課題となった。
ただこれは川井監督にとっては想定済みで、センバツ前までは、実戦練習を増やし、冬の練習も守備練習の割合が多く、打撃強化に時間が取れなかった。
現在は「シフトチェンジをしている最中です」と語る。また、トレーニングに力を入れる狙いはもう1つあり、選手の投げる、走るといった基礎能力を高めたい思いがある。

捕食を摂る選手たち
「打撃力が足らないというよりも、今年の選手たちは2年生でレギュラー担っている選手たちが多いですから、甲子園を戦って、他のチームと比べると体力、筋力的なものが足りないと感じました。そのため、トレーニングを重視して、スピード、スローイング能力を高めることができれば」
今年は茨城県大会ベスト4、21世紀枠として甲子園に出場したが、野手全体の力量は例年より低いと見ている。
「秋に勝ち上がれたのも、投打が噛み合ったこと。また、エースの岩本 大地の力が大きいと思っています。1人1人の個の実力は、例年より低い。だからこそ地力を高めて勝負していきたいと思っています」
実績に見合った実力があるわけではない。甲子園を経験したことは改めて自分たちの力不足を実感する機会となった。
強豪校となれば、当然、目標を甲子園出場、全国制覇を掲げる。今年のチームももちろん甲子園出場を目指している。だが、実力は足りないことは明確にわかった。川井監督はその方がチームを作りやすいと語る。
「ある程度、力をつけると、漠然と甲子園に行けるじゃないかと思うことがあるんですよね。だけれど、今年は甲子園を経験して、明確に力がないことがわかったので、選手は1人1人、課題を見つけて取り組んでいます。だからチーム作りはしやすい」
この方針に切り替えて1ヶ月。練習試合でも振り込んだ成果が見られている。