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新戦力も整い、最後は「嬉し涙を流す」 神戸弘陵女子硬式野球部【後編】

2019.07.24

明後日26日開幕!全国高等学校女子硬式野球選手権大会出場 応援企画(全3回)

 創部6年目ながらすでに6度の日本一を経験している神戸弘陵女子硬式野球部。春季リーグで最優秀投手賞に輝いた龍田美咲(京都フローラ)をはじめ、プロや大学で活躍するOGも多数いる。
 後編では、この春に入部した期待の新人・島野愛友利の現在や勝ち続ける上で石原監督が重要視している普段の生活についても語っていただいた。

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窮地を脱して「三冠」へ王手をかける 神戸弘陵女子硬式野球部【前編】

期待の新人が入部、期待が高まる島野愛友利

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大きなが期待が懸かる島野愛友利(神戸弘陵女子硬式野球部)

 3冠達成に向けて石原監督はチームの底上げを課題に挙げた。下からの突き上げがなければレギュラー陣が安心して競争が生まれなくなる。チームを活性化させるためにも指揮官は新戦力の台頭を熱望していた。

 その中で新戦力として期待されているのが島野愛友利(1年)だ。彼女の名前を聞いたことがある野球ファンも多いだろう。
 昨年に大淀ボーイズのエースとしてジャイアンツカップの優勝に導いたあの選手である。全国制覇したチームのエースが女子だったことで大きな話題となり、メディアからの注目も集めた。中学までは男子に交じってプレーしていたが、高校からは女子野球の世界に飛び込んだ。高校でも勿論、投手として期待されているが、野手としても戦力として構想に入っている。

 取材に訪れた日も島野はマウンドに行くことはなく、野手として練習に参加。シートノックでは三塁の守備についていた。
 日本一になった硬式クラブチームでエースの座を実力で掴んだこともあり、強豪女子野球部の中においても島野の実力には目を引くものがある。石原監督は島野について好評価している。

 「島野は投手も野手もできるユーティリティープレーヤー。1年生らしからぬモノを持っていて、3年生と変わらない試合度胸もある。試合に出しても力を発揮しますよね。夏には投手として2番手、3番手になるかもしれない。野手でもスタメンで出ていますが、1年生でここまでできるのはなかなかいない。3年生と同じくらいとはいかなくても2年生の中でも良い方の実力はあります。もっと力を付けていけば、末恐ろしい選手になれる素材です」

 1年生らしからぬ実力を持ち、女子高校野球界で最も有名な選手と言っても差し支えない島野だが、62名いる部員の中に混じると、存在感が際立っているわけではない。石原監督は「天狗になっていないし、いい意味で目立っていないんです」と話す。

 石原監督は入学前に天狗になっていないか不安になっていたそうだが、それは杞憂だった。輝かしい実績を持ちながらもそれを鼻にかけることなく、1年生らしく振舞っている。先輩から見てもケチをつける必要がなく、チームメイトの良き手本となっていることで「影響力が凄い。いなかったらどうなっていただろう」と指揮官に思わせるほどチームに好影響をもたらしている。

[page_break:普段の生活面の積み重ねを試合に生かす]

普段の生活面の積み重ねを試合に生かす

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マウンドに集まる神戸弘陵女子硬式野球部の選手たち

 取材に訪れたのは6月4日。選手権の開幕まで残り2ヶ月を切った時期だ。夏も優勝候補の本命であることは間違いないが、ライバルチームが神戸弘陵を目標に挑んでくることが予想される。
 「1日をどれだけ充実してやるかに尽きます。日々の取り組みから大会に向けてチーム力をつけていけるかだと思います」と石原監督は夏に向けての取り組みについて話してくれた。

 練習内容は極めてオーソドックスで、大会を勝ち抜くために秘策を用意しているわけでもない。日々の練習をどう充実させていくかが重要であると石原監督は考えている。その中でも特に重視しているのが野球よりも日々の生活だ。

 「寮生活や学校生活などの全てがプレーに繋がるので、日々の生活を大事にしています。野球の技術よりも人間性というのを明確にしています。野球さえやっていればいいんじゃないよと」

 日頃の行いがプレーに出ると考える石原監督は野球以外での生活面を重視している。野球だけでなく普段の生活からの積み重ねが試合に繋がるというのがチームの方針だ。その意識もあってかグラウンド内では機敏に動き回り、一球に対する集中力も高いように感じられた。特に打撃練習のボール集めでの素早さは男子でもなかなか見ることのできないスピードだった。練習を見学する際はぜひ見てもらいたい。

 いよいよ昨年の先輩が成し遂げられなかった3冠に挑戦する。「3冠を取りたいです。全員で嬉し涙が流せるように絶対勝って終わりたいです」と意気込む佐伯。これまでの取り組みの成果を発揮して夏も頂点を目指す。

文=馬場遼

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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