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どんな結果でも日本一を追求しつづける毎日は変わりない 大阪桐蔭【後編】

2019.06.18

 6月17日から大阪桐蔭特集がスタート!17日連続で記事を掲載していきます。大阪大会夏3連覇を狙う大阪桐蔭の選手たち、OBたちを取材し、大阪桐蔭の魅力をたっぷり伝えていきます。まずは今年の大阪桐蔭ナインに迫っていきます。

 昨年、史上初の二度目の春夏連覇を飾った大阪桐蔭。この夏も多大な注目を浴びて大会を迎えることになるだろう。
 今年は神宮大会以外の主要大会を制した昨年と違い、秋は近畿大会ベスト8、春は大阪大会ベスト16と思うような結果を残すことができていない。常に多大な注目度されてきた昨年のチームとは違い、今年の選手はどう過ごしてきたのかは、あまり知られていない。

 後編では西谷監督が語る大阪府で勝ち続ける事の厳しさや、招待試合について書いていく。

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夏の全国連覇を目指して、大阪桐蔭の現在地【前編】

春はベスト16だったが、チームは着実に成長できている

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上着を着てアップをする大阪桐蔭の選手たち

 夏の大阪大会はシード制がないのが特徴だ。だから1回戦から秋、春の上位チームと対戦する可能性がある。
 さらに真夏の中、試合間隔が短い中、優勝するには7試合~8試合を戦い抜かなければならない。

 西谷監督は
 「皆さん履正社さんと言いますが、履正社さんはもちろん強いですけど、それ以外にも良い学校はいっぱいあります。大阪はいつどこと当たるか分からない、そういうサバイバル的なところは、どこの他府県も皆さんレベルは高いですけど、簡単ではない都道府県であるとは思います。どこと当たるか、いつ当たるか分からないので、作り方としては常に全力でやらないと。それが大阪の戦い方だと思います」

 大阪桐蔭は5月~6月の期間は強化練習期間に入っているが、アップでは上着にグラウンドコートを着て、トレーニングを行う。ランニング、体幹トレーニングと地味な練習を繰り返し行う。

 西谷監督は「きつい日程になるのですが、夏の大阪は大変ですけど、どうこう言ってられないですし、そこで勝って今度は全国で勝つ力をつけないといけないですから」

 大会が終わってから1ヶ月は、個人の能力を高めることをテーマにやってきた。

 西谷監督は「強みを出す、そして多くの投手を見い出す前に負けてしまった」と語るように、昨年、大阪7試合+近畿3試合合わせて10試合できたが、今年は4試合しかできなかった。
 それでも練習試合と練習のサイクルを繰り返し、西谷監督は「チームとしての勝ち星は重ねられなかったですし、公式戦の数は足らなかったですけど、成長してきているとは思っています」と見ている。主将の中野は選手たちへ接戦の強さを求め、「試合中のミーティングで『もっと粘っていこう』であったり『しぶとさを出していこう』という声が掛かるようになってきているので、そこはチームとして意識づけられていると思います」と団結力は高まっていると語る。

 全体的に投手、打者が伸びてきた。投手では春季大会で先発投手として活躍した藤江星河、速球派右腕の中田唯斗、先発型右腕の新井 雅之の3人が中心。さらに本格派右腕・縄田渉も招待試合に登板。昨年から公式戦や招待試合の経験がある河野大地。近畿大会で登板のある左腕・高野 裕輝がいる。

 打者では去年から出場している主将の中野 波来、二塁手・宮本涼太、三塁手・山田優太が目立っていたが、今年は昨秋からレギュラーだった西野力矢船曳烈士だけではなく、あまり出場機会がなかった加藤巧也が伸びている。
 「元々はショートでスタートしていたのですが、サード、セカンド、ファーストもやらせています」

 加藤は打撃練習から無駄のないスイング軌道でボールを捉え、鋭い打球を連発した。春では3番でスタメン出場することもあり、さらに複数ポジションを守れ、日増しに評価が高まっている。

[page_break:]貴重な招待試合でチームを強化し、夏の大阪を制する!

貴重な招待試合でチームを強化し、夏の大阪を制する!

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関西戦前にミーティングをする大阪桐蔭ナイン

 そしてチーム力の強化と立ち位置を再認識するために、大事にしているのが6月の招待試合4試合だ。
 6月8日・9日は関西玉野光南倉敷商倉敷工、6月22日、23日は広島広陵、広島商崇徳広島新庄と対戦する。

 西谷監督は「6月という大事な時期に良い相手とやらせていただくという環境を作っていただいているので、ありがたいです。我が校は土曜日に授業があるので、あまり練習試合が無いんです。招待試合に呼んでいただくと土・日と連戦できることが、ありがたいです。招待をいただいている時はそちらを優先させてもらえているので」
 招待試合がチーム力を高める良い機会だと捉えている。

 また、主将の中野も
「二日間で4試合、しかも各県でベスト4に入っているチームとやらせてもらえるので、そこは夏に向けて一番大事というか、練習も大事なのですが、良い相手と2試合2試合できるので、自分たちの力を試したり、うまくいかないことも全部課題にして、いろんなことを大阪に持ち帰って、二日間でいろいろなことを勉強したいと思っています」

 まず岡山県の招待試合を振り返ると、8日の関西戦は宮本が2ホーマーを打つなど、11安打8得点で、関西の猛打を抑え、8対7で勝利、玉野光南戦では0対10の完封負け、9日の倉敷商戦で、好左腕・木村蒼を攻略。4対4の8回表、代打・山田優太の勝ち越し適時打が出て、接戦を制し、中田が完投勝利。倉敷工戦では2対0で勝利し、秋のエース・新井が3安打完封。
 強化練習期間で、さらに疲労がたまる連戦でも粘り強い勝負ができたのは、大きかっただろう。

 今年はセンバツ出場せず、春では5回戦敗退と例年より公式戦が少ない。
 「ここ何年かとは作り方、勝ち上がり方が違うので、秋も春も優勝せずに夏を迎えるのは久しぶりじゃないですかね」

 それでも西谷監督も、中野主将も、日本一を目指す考えは変わりない。まず西谷監督。
 「常に“日本一を目指そう”ということでやっているので、まあ大阪で勝ってないのに日本一というのはおこがましいですけど、それでも日本一を目指してやりたいと毎日思っています」

 主将の中野は「センバツ大会では僕と副主将の宮本の二人で優勝旗を返還することになったので、夏は今持っている優勝旗を部員60人全員で返しに行くということをまず目標としていて、その優勝旗を自分たちの代で優勝してまた取り戻すということを目標にしてやっています。まだまだそんな力は無いことは分かっているのですが、大阪を勝ち切って日本一になるということを目標にやっていきます」

 秋、春で発揮できなかった「あと一歩の粘り」。それを発揮するために、苦しい練習を続け、3年連続で激戦区・大阪を制してみせる。

大阪桐蔭特集がスタート!!

 6月17日から大阪桐蔭特集がスタートしています。17日連続で記事を掲載していきます。大阪大会夏3連覇を狙う大阪桐蔭の選手たち、OBたちを取材し、大阪桐蔭の魅力をたっぷり伝えていきます。
6月17日12時 大阪桐蔭 野球部訪問【前編】「夏の全国連覇を目指して、大阪桐蔭の現在地」
6月18日12時 大阪桐蔭 野球部訪問【後編】「どんな結果でも日本一を追求しつづける毎日は変わりない」
6月19日12時 中野波来主将 インタビュー【前編】「偉大な先輩たちの背中を追ってきた下級生時代」
6月20日12時 中野波来主将 インタビュー【後編】「知られざる主将としての重圧。すべてを乗り越え、夏は大爆発を」
6月21日12時 宮本涼太選手 インタビュー【前編】 名門の道を歩んできた野球人生 転機となった台湾遠征
6月22日12時 宮本涼太選手 インタビュー【後編】 そして憧れる強打の二塁手へ 宮本涼太(大阪桐蔭)【後編】
6月23日12時 西野力矢選手 インタビュー 憧れは中田翔!2年生4番・西野力矢(大阪桐蔭)はチームの勝利の為に打ち続ける
6月24日12時 OB 青地斗舞選手(同志社大学)インタビュー【前編】 大阪桐蔭最強世代の2番になるまでの軌跡
6月25日12時 OB 青地斗舞選手(同志社大学)インタビュー【後編】史上初2度目の春夏連覇を達成の影に高校生活で最も厳しい練習があった
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6月28日12時 OB 宮崎仁斗選手(立教大)インタビュー【前編】「自分の生きる道を考え続けた3年間 宮崎仁斗(大阪桐蔭-立教大)」
6月29日12時 OB 宮崎仁斗選手(立教大)インタビュー【後編】「自分の居場所を見つけて勝負ができれば、チームも強くなる 宮崎仁斗(大阪桐蔭-立教大)」
6月30日12時 OB 山田健太選手(立教大)インタビュー【前編】「甲子園で活躍するための練習、生活を送ってきた 山田健太(大阪桐蔭-立教大)」
7月1日12時 OB 山田健太選手(立教大)インタビュー【後編】「4年後はメンタリティも、技術もプロに進むのに相応しい選手へ 山田健太(大阪桐蔭-立教大)」

7月2日12時 OB 田中誠也選手(立教大)インタビュー【前編】「コントロールで生きる!自身のスタイルを確立させた大阪桐蔭時代 田中誠也(立教大)」


7月3日12時 OB 田中誠也選手(立教大)インタビュー【後編】「研究を重ねてどり着いた回転数の高いストレートと決め球・チェンジアップ」

(取材・河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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