第631回 思いを語りぶつけ合う、日誌こそが小山台野球、強さの秘訣 都立小山台(東京)【前編】2019年06月12日

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【目次】
【都立小山台の練習の様子をギャラリーでチェック】
[1]新チームスタート時は、最弱のチーム
[2]都立小山台の伝統「野球日誌」

 昨夏の東東京大会、決勝で二松学舎大附に敗れはしものの、準決勝では全国制覇実績もある帝京を下した都立小山台。この春の東京都大会でも、名門早稲田実業を下してベスト4に進出。準決勝でセンバツ甲子園帰りの国士舘に屈したものの、その戦いぶりは「小山台は勝負強い」ということを印象づけた。グララウンドは狭い上に、さまざまな制限がある環境。定時制の関係もあって、17時には完全下校が義務付けられている。そんな中で実績を残していかれる都立小山台の強さの秘訣を探ってみた。

新チームスタート時は、最弱のチーム



都立小山台野球班

 目黒駅から東急目黒線で二駅、武蔵小山駅を出るとすぐに、都立小山台高校がある。商店街とマンションなどに囲まれて大都会の住宅街の一角だが、それほど大きくない校門には誇らしげに他の班活動(一般的な部活動を小山台では“班活動”という)の実績とともに「野球班、第100回全国高校野球選手権東東京大会準優勝」の横幕が掲げられている。 昨夏の準優勝に続いて、今春の東京都大会も2006(平成18)年には全国制覇を果たした早稲田実業などを下してベスト4入り。あと一つ勝てば、初の関東大会進出も果たせるところだった。

 「準決勝では、自分が先(勝てば初の関東大会進出)のことを考えすぎてしまって、失敗しました。反省点です」

 と福嶋正信監督は言う。ただ、新チームがスタートした時は、「小山台で10年目になりますが、スタート時点では一番弱いチームでした」という状況だった。しかし、そんなチームが、わずか半年でどうして東京ベスト4にまで進出するチームになれたのだろうか。

 「史上最弱から最高へ」

 そんなスローガンを選手たちが自分たちで掲げて、真の全員野球に取り組んでいった成果が着実に実ってきている。それを実感させる要素があるからである。

 都立小山台で驚かされるのは、本当に17時には生徒全員が校門を出なくてはいけないということである。だから、16時50分頃からの10分間はいろいろな生徒が、駆け足で校門を後にしていくのである。もちろん、野球班も同じである。

 ただ、金曜日などはその後に近くの会議室を借りて、ミーティングやグループごとに分かれて、一つのテーマについて話し合い、それを発表し合うという形の意見の出し合いなども行われる。そこで本音で話し合うことで、真の団結やチームワークを育んでいるということがしっかりと分かる。そこには、言葉だけの全員野球ではなくて、本当の意味で全員が同じベクトルで同じ方向を見つめている目に見えない力が育まれていることがわかる。

【次のページ】 都立小山台の伝統「野球日誌」

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試合で役立つメンタルマネジメント
国士舘 【高校別データ】
都立小山台 【高校別データ】
早稲田実業 【高校別データ】

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プロフィール

手束仁
手束 仁
  • 生年月日:1956年
  • 出身地:愛知県
  • ■ 経歴
     愛知県知多市出身。半田高→國學院大81年卒。大映映像事業部など映像会社で、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションに10年勤務後独立。
     99年に『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け、を刊行。同年に『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社・刊)で本格的にスポーツ作家としてデビュー。99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、『ふたりの勇気~東京六大学野球女子投手誕生物語』、『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)などを相次いで刊行。さらに話題作となった『甲子園出場を目指すならコノ高校)』(駿台曜曜社)、『野球県民性』(祥伝社新書)、『プロ野球にとって正義とは何か』、『プロ野球「黄金世代」読本』、『プロ野球「悪党」読本』(いずれもイースト・プレス)などを刊行。
     さらには『高校野球のマネー事情』、『スポーツ(芸能文化)名言』シリーズ(日刊スポーツ出版社)、『球国愛知のプライド~高校野球ストーリー』などがある。
     2015年には高校野球史を追いかけながら、大会歌の誕生の背景を負った『ああ栄冠は君に輝く~大会歌誕生秘話・加賀大介物語』(双葉社)を刊行し18年には映画化された。

     スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」、専修大学で「スポーツジャーナリズム論」などの特別講師。モノカキとしてのスポーツ論などを展開。
     その他には、社会現象にも敏感に、『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)なども刊行。文学と社会風俗、学校と教育現場などへの問題提起や、時代と文化現象などを独自の視点で見つめていく。 そうした中で、2012年に電子メディア展開も含めた、メディアミックスの会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。新たなメディアコンテンツを生み出していくものとして新たな境地を目指している。
  • ■ 著書
    都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社) 
    甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
    高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)

    話題作となった
    甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
    スポーツ進学するならコノ高校
    東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
    三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
    スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
    高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
    野球県民性』(祥伝社新書)
    野球スコアつけ方と分析』(西東社)
    流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW!
  • ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
  • ■ 手束仁 Official HP:熱中!甲子園
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