虎視眈々とチームを仕上げ、夏の福岡を一気に捲る 東海大福岡(福岡)【後編】
東海大福岡と言えば、2017年の選抜甲子園大会に出場して、清宮幸太郎を擁する早稲田実業などを破ってベスト8に進出したことが記憶に新しい。
今年のチームも秋季福岡県大会ではベスト16、春季福岡県大会でもベスト16と、相変わらず堅実な強さを維持しているが、当時のメンバーを知る3年生の選手たちからすれば、物足りない成績であることは言うまでもないだろう。
前編では、杉山監督が考えるチームの課題について迫ったが、後編では杉山監督が考える今年のチームの具体的な方向性や、夏に向けた選手たちの意気込みに迫っていく。
◆キーワードは「配球を読む力」 東海大福岡(福岡)に今なお息づく原貢氏の野球観【前編】
三者三様で良い仕上がりを見せている投手陣
練習後、夕日に包まれる中でランニングを行う選手たち
夏に向けて、主力選手が揃い始めた東海大福岡であるが、今年の福岡県は何と言ってもレベルが高い。全国レベルのチームがひしめき合い、まさに戦国時代とも呼べる状態であるが、杉山監督はすでにチームは、夏の福岡県を戦い抜くための「仕上げ」の段階に入っていると話す。
「ゴールデンウィークからは、90名いる部員を3分の1くらいに絞って練習を行います。学校を終えた後の練習時間を考えると、30人ぐらいで絞った中での練習になってきます」
その中で杉山監督が掲げる、今年のチームの浮上のポイントは大きく2つある。
まず一つ目は投手運用だ。
今年の東海大福岡の投手陣を支えているのは、重田正輝、大久保啓、高橋歩夢の3投手であるが、杉山監督はこの3人の起用方法をこれから詰めていくことを、「仕上げ」の第1ミッションとして挙げる。
秋、春と背番号1を背負った重田正輝(東海大福岡)
「これまではエースがいて、場合によってはリリーフを仰ぐといった戦い方をしていましたが、今年に関しては三者三様で、みんな悪くありません。
ですが、やはり二回り目になると相手も研究してきます。具体的なやり方(投手運用方法)については、これから試しながらやっていこうと考えています」
秋、春と背番号1を背負い、チームの主戦となった重田は、杉山監督の起用法に対して信頼を口にし、その上で自らが獅子奮迅の投球で、チームを甲子園に導いていくことを強く意気込む。
「杉山監督はすごい経験をお持ちの方なので、投げろと言われたところで精一杯投げて、自分がチームを[stadium]甲子園[/stadium]に連れて行くぐらいの気持ちでやっていきたいと思います」
出でよ、3人目のポイントゲッター
東海大福岡の杉山繁俊監督
杉山監督が2つ目のミッションとして挙げたのが、より効果的にランナーを返すことが出来る打順の組み方だ。
杉山監督は、打線の中に3人のポイントゲッターとなる打者がいれば、より効果的に得点を奪うことが出来ると話す。具体的な配置としては、1番から3番の中に一人、4番から6番の中に一人、7番から9番の中に一人といった具合だ。
現在のチームにおいて、ポイントゲッターとしての役割を期待されているのは、藤木貫太と大山愛斗の二人であると杉山監督は語り、打線に繋がりを持たせるためにも、相手にとってプレッシャーとなるような打者があと一人は出てきて欲しいと話す。
「6番か7番くらいに置きたいなと思う選手が、あともう一人出てきて欲しいなと思います。そういった配置ができれば、打線が機能していくのではないかと考えています」
主軸としての期待が懸かる藤木貫太(東海大福岡)
ポイントゲッターとしての役割を期待されている藤木は、その役割を全うするためにもより勝負強いバッテッィングを誓う。これまでは、ここ一番での勝負弱さが課題であったと語る藤木は、夏までの残りの期間で課題を克服していきたいと意気込みを語った。
「これまでは、ここ一番で攻めきれない気持ちの弱さがありました。課題を克服して、監督さんの期待にこたえられるような打撃をしたいと思います」
経験豊富な指揮官の意図を、チーム全員が全力で読み取ろうと努め、夏の福岡の頂点を虎視眈々と狙う東海大福岡。杉山監督の構想に、選手たちの技術力と思考力が追いついたとき、夏の福岡県を一気に捲るのは東海大福岡に違いない。
(取材・栗崎祐太朗)