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主将の背中を見てチームが変わる!泥臭いことが出来るようになった京都外大西(京都)【後編】

2019.05.28

 課題や反省点が浮き彫りになるも、確実に自分たちの戦い方を見つけていった京都外大西。後編では京都外大西の注目選手を紹介。また夏の[stadium]甲子園[/stadium]出場に向けての取り組みにも迫っていく。

◆強豪との対戦で深めた自信、名門復活を懸けて京都外大西(京都)は夏に向かう【前編】

夏に向けて過酷なメニューで体力強化を図る!

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ランニングを行う京都外大西の選手たち

 夏に向けては体力強化に力を注いでいる。元Jリーガーでサッカー部の森本勇一監督に「これが一番キツイ」と勧められたダッシュ系のメニューをアップに取り入れた。50mを8秒以内に走り、22秒間でスタート位置に戻るというインターバル走を10本行うというものだが、これが見た目以上に過酷で10本すべて設定タイム以内で走れる選手は多くない。

 強度の高いランニングメニューは心身ともに苦しいものがあるが、選手たちは前向きな言葉をかけながら明るく前向きに取り組んでいる。その中心にいるのが主将の風間祐輝(3年)だ。風間は5番一塁手として活躍するチームの中心選手。大きな声を出しながらチームを盛り上げるムードメーカー的存在でもある。

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主将の風間祐輝(京都外大西)

 そんな風間だが、分裂膝蓋骨(ぶんれつしつがいこつ)という先天性の病気で左膝の皿が二つに割れた状態で生まれてきた。離れた骨に筋肉がついており、中学時代にそれが発覚してからは激痛に耐えながらプレーを続けている。膝の状態が限界に近いことから、野球は高校で終わりと入学時に腹を決めて高校野球に取り組んできた。

 本来なら満足に走れる状態ではないはずだが、「痛くてもチームのためにやるという姿を示すきっかけになれば」と辛い顔を一切見せずに走り続けている。そういった風間の姿がチーム全体に伝わり、「泥臭いことができる」と上羽監督が評価する集団になった。

[page_break:絶対的な自信を持つ打線!]

絶対的な自信を持つ打線!

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京都外大西の主砲・山下航汰

 夏は9年ぶりの[stadium]甲子園[/stadium]出場を目指す。近年の京都はこれまでしのぎを削ってきた龍谷大平安福知山成美鳥羽などに加えて京都翔英乙訓京都国際といった新興勢力の台頭もあり、大激戦が予想される。激戦区を勝ち抜くにあたって上羽監督は「今やろうとしているウチの戦いをどこの相手でもやる」とあくまで自分たちのスタンスを貫く構えだ。上羽監督は京都外大西が目指す野球について話してくれた。

 「打つ方は2ストライクまでは思い切り振る。1イニング3球で終わってもいいから思い切り振れということを言っています。守備に関してはヒットはOK。ストライク先行を目指せと言っています」

 打線に関しては「京都で一番良いと思っている」と絶対的な自信を持つ。4番に座る山下は1年の春からレギュラーを掴んでいる有望選手。身長180㎝、体重70㎏と細身だが、タイミングを取るのが上手く、巧みな打撃技術で2年生ながら既に高校通算で20本以上の本塁打を放っている。

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京都外大西の集合写真

 山下の前後も実力者が並ぶ。3番の吉田元輝(3年)はバットコントロールに優れており、守備力も非常に高い選手。秋は二塁手だったが、春から遊撃手にコンバートとなり、攻守の要として期待される。5番の風間もパンチ力とミート力を兼ね備えた巧打者だ。

 投手陣は上羽と田辺が軸となるが、上羽監督がカギを握る存在として期待しているのが左腕の東原健人(3年)だ。角度のあるボールを武器としており、安定感に課題はあるが、素材はあると指揮官は見込んでいる。東原が計算できる戦力になれば、投手陣に厚みが増して夏を有利に戦うことができるだろう。

 いよいよ復権に向けて機は熟してきた。「これまで悔しい思いばかりしてきたので、[stadium]甲子園[/stadium]に出て笑って終われるようにしたいです」と意気込むのは投手陣の柱である上羽。最後に父が監督として[stadium]甲子園[/stadium]に出場したのは小学3年生の時だが、当時の記憶は薄れているという。[stadium]甲子園[/stadium]の記憶を鮮明にするためにも自らが出場して深く思い出に刻むつもりだ。

(取材・馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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