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強豪との対戦で深めた自信、名門復活を懸けて京都外大西(京都)は夏に向かう【前編】

2019.05.26

 2005年夏に[stadium]甲子園[/stadium]で準優勝に輝くなど、名門校として名高い京都外大西。しかし、近年は新鋭校の台頭で苦戦を強いられている。そんな中で昨秋は4強に進出し、復活への足掛かりを掴んだ。「打線は京都一」と上羽功晃監督が自負する強力打線で9年ぶりの[stadium]甲子園[/stadium]出場を目指す。

「まっさらな状態」からスタートした新チーム

強豪との対戦で深めた自信、名門復活を懸けて京都外大西(京都)は夏に向かう【前編】 | 高校野球ドットコム
ダッシュを行う京都外大西の選手たち

 京都外大西のグラウンドは学校から約12㎞離れた高台にあり、選手たちは授業を終えた後にスクールバスで移動する。この日は車で取材に向かったが、グラウンドまで残り3㎞になると箱根駅伝の山登りを思い起こさせるかのような急勾配が待ち受ける。その坂を車で走っていると、目の前にランニングをしている野球部員の姿が見えてきた。時期によって走る距離は違うが、途中でバスを降りて、走ってグラウンドに向かうのがアップ代わりになっているのだという。

 京都外大西といえば長年の高校野球ファンにとってはお馴染みの存在だ。京都西時代の1984年春に[stadium]甲子園[/stadium]初出場を果たすと、その後もコンスタントに[stadium]甲子園[/stadium]に顔を出すようになった。三原新二郎前監督(現・広島文化学園大監督)の最後の采配となった2005年夏には初めて[stadium]甲子園[/stadium]決勝に進出。三原前監督から上羽監督にバトンタッチしてからも3度[stadium]甲子園[/stadium]に出場しているが、2010年夏を最後に聖地から遠ざかっている。

 昨夏は3回戦で花園に8対9で敗戦。試合に出場していたのが下手投げ投手の田辺啓太(3年)と1年生ながら6番を打っていた18152(2年)だけだったこともあり、「とにかくまっさらな状態」(上羽監督)というところから新チームがスタートした。

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京都外大西の上羽功晃監督

 秋に向けて練習試合を重ねていく中で「ヒットはそこそこ打たれるんですけど、四球で崩れることがなかった」と上羽監督は投手陣に手応えを感じていた。上羽監督の次男で粘り強い投球が身上の上羽哲平(3年)が先発して田辺がリリーフするのが必勝パターン。「その継投の方が落ち着きはある」と自分たちの戦いが確立されてきた。

 一次戦は京都国際に代表決定戦で敗れるも、敗者復活代表決定戦に勝利して何とか突破。二次戦の初戦では京都文教を相手に序盤から有利に試合を進めて8対1の8回コールドで勝利した。

 準々決勝では好投手の遠藤慎也(3年)を擁する京都翔英と対戦。京都屈指の本格派右腕に対して「速い真っすぐに振り負けない」という対策を立てて挑んだ。2回表に先制点を許したが、その裏にストレートの狙い打ちに成功して逆転。2回に奪った3点を守り切って、3対2で勝利した。

 チームとしても2011年春以来の4強に進出し、近畿大会出場に王手をかけた。しかし、準々決勝から準決勝までの1週間で「京都で一番良いピッチャーに勝ったぞと少し浮足立ちましたね」と上羽監督は振り返る。準決勝の福知山成美戦はミスが出て5対9で敗れると、近畿大会出場をかけた龍谷大平安戦では2対14の5回コールドという大敗。上羽監督は「経験のなさを露出したなということを凄く感じましたね。久しぶりに上に上がって自分のプレーを見失ったのを感じました」と反省点を述べる。

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手応えを感じるも課題が見えてきた冬と春

強豪との対戦で深めた自信、名門復活を懸けて京都外大西(京都)は夏に向かう【前編】 | 高校野球ドットコム
バッティング練習を行う京都外大西の選手たち

 名門復活を印象づけた一方で課題も見えた。

 近畿大会に出場した福知山成美京都国際龍谷大平安とは全て対戦して敗れたが、その3校に比べて守備力に差があると上羽監督は感じていた。冬場はキャッチボールとスローイングに力を入れ、守備力強化に取り組んだ。一部に故障者が出て思うように練習ができない選手もいたが、「秋よりはマシにはなっている」と一定の手応えを感じている。

 冬が明けた3月は自信を深める期間となった。センバツ出場校の習志野啓新星稜と練習試合を行い、啓新には引き分け、習志野には「6対1か6対2」(上羽監督)というスコアで快勝。星稜には5対9で敗れたが、主砲の山下がプロ注目の奥川恭伸(3年)から本塁打を放って見せ場を作った。

 それ以外の練習試合でも打線が活発な試合が多く、上羽監督は「打つことに関しての手応えは凄く持ちましたね」と打力に関してはかなりの自信を持ち始めた。だが、怪我人が出た影響もあり、春は一次戦の代表決定戦で立命館に6対7で敗戦。「みんなが負けるイメージがなかったので、チームがちょっとガタつきましたね」(上羽監督)と選手たちにとってもショックの大きい敗戦だったようだ。

 課題や反省点が浮き彫りになるも、確実に自分たちの戦い方を見つけていった京都外大西。後編では京都外大西の注目選手を紹介。また夏の[stadium]甲子園[/stadium]出場に向けての取り組みにも迫っていく。

(取材・馬場遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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