目次
[1]名将・山本監督が徹底させた試合への向き合い方
[2]後半に強い大分工。九州予選・九州大会で発揮!

 大分を代表する名門・大分工。2000安打を達成した内川聖一選手をはじめに数々の名選手を輩出し、2010年夏以来の甲子園を目指している。そんな今年の大分工はどんなチーム作りをしてきたのか。

名将・山本監督が徹底させた試合への向き合い方


 毎年、大分県の上位に進出しながらもなかなか九州大会に勝ち進むことができなかった大分工。ただこの春、県大会に優勝して九州大会に出場。さらに1勝を挙げた。

 それは率いる山本一孝監督の手腕が大きいだろう。津久見高校のOBで、津久見高校時代はヤクルトで活躍した川崎憲次郎投手を擁し、1988年の第70回大会でベスト8入り、その後も大分西臼杵でも九州大会に導いてきた大分県を代表する名指導者である。

 そんな山本監督は大分工の選手たちに指導するにあたって、意識していることは一体感を持たせること。意識、目的をしっかりと共有することを行ってきた。

 「大分工は就職率が高く、県内でも人気の工業高校です。だから就職したいという気持ちで入る選手たちもいますので、野球が野球がという強豪校と比べると、野球オンリーではない。ガツガツさが足りないところが就任当初はありました。
 また、強豪校と比べると技術的に上手い選手、そうではない選手の差が大きい。その中で統一できるものを挙げるとすれば、私生活、考え方、意識、目的など精神的な強化をしてから差を埋めることを求めてきました」



選手へ指導する山本一孝監督

 目的を共有する意味で野球ノートを取り始め、就任1年目の夏は2回戦敗退したものの、濱田 太貴など強打者多く擁する明豊と延長に及ぶ大接戦。秋もベスト8へ進出した。意識は着実に上がり、「だんだん個人のことと、チームのことを考えて書けるようになった選手も多くなった」と語る。

 秋負けた段階で課題となったのは守備力。今年は昨夏から活躍する日高 翔太、今宮悠斗擁する好チーム。守り勝つチームとして考えていたが、それが乱れてしまった。この冬は守備力の強化。今年は内野手の層が薄く、山本監督は1人2ポジション制を敷き、エースの日高も遊撃、二塁を守り、副主将の糸永が遊撃、一塁を守るなどいろいろな工夫をしてきた。ただそれだけでは勝つことはできない。

 そこで山本監督が行ったのは試合プランの意識付けだ。大分工は後半に強いチームになることを目指したのだ。
 「後半に強くするためには1つのプレーに対して一喜一憂をしないこと。そのため5回まで先制点をとっても、取られても、打てなくても、エラーが多くても、気にしないことに努めました。そうなると先制点をとっても勝ったつもりになって油断することはなくなりますからね」

 レベルが高いチームになると、1つの打撃、守備に内容を求めがちなところがある。だが、それを求めすぎても選手を苦しめるだけになる。現に大分工の内野の動きを見ると、確かに危なっかしいところがある。山本監督もそれは承知の上。だからこそ試合中は「気にしすぎるな」というのだ。個人の反省は試合が終わってからすればいい。

 この向き合い方で選手たちは楽になった。主将の今宮は言う。
 「この冬はトレーニングに明け暮れて、守備、打撃は良くなったと思います。だけれど、一番は試合に対する向き合い方が成長したと思います。秋は目の前のことだけで精一杯でしたが、今では後半勝負を意識しているので、だいぶ余裕をもってこなすことができていると思います」

 気持ちの余裕。それが春の躍進につながった。

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