第606回 今年の片倉も面白い!楽しさの中に自主性を育ませる片倉メソッドに迫る!2019年04月13日

印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

【目次】
[1]楽しいだけではない。選手の思考力を鍛えた野球ノート
[2]押しつけがないことが選手の自主性を育ませる

 八王子市に所在する都立片倉。昨夏はベスト8まで勝ち進み、準々決勝では日大三と大接戦を演じた。今春もベスト16入りを果たし、夏のシード権を獲得した。今年の都立片倉は指導方針、選手ともに面白いチームであること。選手の個性を大きく伸ばす都立片倉の方針に惹かれる方も多くなるはずだ。

楽しいだけではない。選手の思考力を鍛えた野球ノート



シートノックを行う様子

 練習では笑顔が見られ、指導者の罵声もほとんどない。試合になれば、得点や好プレーが出れば、一気に盛り上がる。そんな都立片倉の練習や試合を見ると、「本当に楽しそうに野球をやっているなあ...」という印象を受ける。楽しそうというというのはただ笑顔で適当にプレーしているのではなく、真剣に走り、点を取れば、どこのチームよりも喜び、ピッチング、バッティング、フィールディングを見ると、1人1人が自分の技術を追求している様子が見られるからである。

 たとえば打撃練習。遊撃手・柳本 康希がしっかりとステップしたり、ノーステップで打ったりしている。なぜなのか聞くと、「投手によってクイックで投げたりする投手もいますので、それに合わせて練習をしています」としっかりと意図を答える。

 さらに高校通算12本塁打を誇る上田一成は打撃練習で意図的に一本足で上げて、独特のタイミングを計りながら行っている。その意図について聞くと、「体重移動を意識してやっています」という。これは宮本監督の指示ではなく、全部、選手自ら行っている。この思考力の高さや自ら考える習慣を生み出しているツールがあるという。それが野球ノートである。

 野球ノートは昨秋のチームスタート時から始めた。必ず書かなければならないものなど、特にルールはない。宮本監督が求めているのは自分のためにやることだ。



高校通算12本塁打を誇る上田一成(都立片倉)

 「指導者に見せるためのノートにならないこと。つまり背伸びしている感じなんですよね。お前のためだろ!と叱りますね。だから素っ気なく書いてあっても、自分のために書いてあるんだというのが分かればよいと思います」

 たとえば上田は日々の打撃練習から自分の状態を書く。その時、好調時、不調時の内容を記述することで、いざ大会や練習試合が近づくと、自分の状態に立ち返ることができるのだ。上田はノートのおかげで打撃をより深く考えられている。
 「ノートをとったことで自分の打撃を立ち返ることができる。技術的にも追求することができるようになりました」

 また、新チームから公式戦・練習試合を通じて9本塁打を放っている清水謙伍(2年)はノートによって、しっかりと考えを整理して、打席に向かうことができている。
 「去年の秋は1年生ながら公式戦を経験させてもらったのですが、本当に緊張していました。今は慣れて緊張せず打席に向かうことができていますが、ノートがあることで自分の打席を振り返り、しっかりと準備して立ち向かえることになるようになりました」

【次のページ】 押しつけがないことが選手の自主性を育ませる

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
第944回 21人目の東京代表・黒川麟太朗(国士舘)が選抜で学んだ最短距離の大切さ 【2019年インタビュー】
国士舘vs帝京【東京都 2019年春の大会 春季東京都高等学校野球大会】
国士舘vs都立片倉【東京都 2019年春の大会 春季東京都高等学校野球大会】
国士舘vs都立東村山西【東京都 2019年春の大会 春季東京都高等学校野球大会】
都立片倉vs啓明学園【東京都 2019年春の大会 春季東京都高等学校野球大会】
第937回 野球センスと思考力の高さを秘めた東京都屈指のアスリートプレーヤー柳本康希(都立片倉) 【2019年インタビュー】
国士舘vs立志舎【東京都 2019年春の大会 春季東京都高等学校野球大会】
第854回 東海大菅生vs八王子or日野、早実vs佼成学園or工学院大附など東京都大会は序盤から大混戦!【大会展望・総括コラム】
第861回 注目校・明石商や桐蔭学園が登場!大会5日目の見所【大会展望・総括コラム】
第852回 星稜vs履正社、広陵vs八戸学院光星と激戦ばかり!勝負のポイントは?【大会展望・総括コラム】
第200回 今からチェック!2020年度のドラフト候補を先取り!【ドラフト特集コラム】
第590回 「ダークホース」ではなく「大本命」に  啓明学園(東京)【後編】【野球部訪問】
第883回 甲子園出場!国士舘を支える投手トリオの課題と収穫 【2019年インタビュー】
第831回 試合を作り、決められる最高の1番打者へ 黒川 麟太朗(国士舘) 【2018年インタビュー】
第814回 都大会優勝・国士舘の1年生4番!黒澤孟朗が考える選抜に向けての課題とは? 【2018年インタビュー】
松井 晴比古(都立片倉) 【選手名鑑】
柳本 康希(都立片倉) 【選手名鑑】
啓明学園 【高校別データ】
国士舘 【高校別データ】
都立片倉 【高校別データ】
コメント (1)
春季大会健闘を称えます2019.04.13 鈴木博機
孫がサッカー部で今年卒業しまし、大学生になりました。私は野球をかじってましたので貴校を何時も応援してました。どの大会も健闘しいいところまで進んでました。今春はベスト8をかけ優勝候補第一シードの国士舘をも追い詰め健闘しました。室津君並びナインの夏の大会に期待し、西東京の制覇を祈ります。

コメントを投稿する

プロフィール

河嶋宗一
副編集長 河嶋 宗一
  • 出身地:千葉県
  • ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
  • ■ 副編集長、またドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
野球部訪問トップに戻る サイトトップに戻る

コラム