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スケールアップを追求しつづけた明豊。甲子園で大きなインパクトを! 明豊(大分)

2019.03.22

 第91回選抜高等学校野球大会で横浜と対戦する明豊。読者の皆様にお伝えしたいのは、意識も実力も高く、非常に強いチームであること。まず実力面。32チーム中3位となるチーム打率.379を残し、最速144キロ・寺迫涼生、最速141キロ右腕・大畑連、左腕・若杉晟汰と好投手多く擁する。今回は明豊の選手たちの人間力の高さ、意識の高さを知ってほしい。

今年の選手たちは素直だからこそ上達のスピードが速い

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ガッツポーズをする明豊の選手たち

 成績上、文句なし。だが川崎絢平監督は「出来すぎな結果ですし、予想以上の結果でした。成績に見合うスケールや迫力があるかといえば、秋の時点ではなかったと思います」と語る。

 しかし大分、九州のライバル相手に結果を残したということは、今年の選手は何かしら優れた素質があるはず。川崎監督は人間性を評価した。
 「前チームから出ていた選手もいましたし、能力はそこそこだと思いますが、一番は素直な性格なのが大きいと思います。
 本当であれば、自分で考えて、欠点に気づけて、行動できる選手が理想です。ただ高校生なので、自分たちの欠点になかなか気づけません。そのため我々、指導者は『こうしたほうがいいんじゃないの?』というアドバイスに対して、素直に飲み込むことができる選手が多いので、上達のスピードが速かったと思います」

 また、川崎監督が選手たちにアドバイスしていることで心がけていることは、選手の感性や感覚を生かすこと。

 「始動を早くすること。下半身をイメージさせて動くことはどの選手にも教えますが、こと細かく教えることはしません。自由にやらせながら、本人の感覚を磨いていってほしいと思っています」

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秋に実力が開花した薮田源(明豊)

 昨秋3本塁打を放った薮田源は秋まで出場機会が全くなかった選手。187センチ86キロと恵まれた体格をしており、長打力はあるものの、確実性を欠く選手だった。そこで川崎監督は「体が大きいので、当てればほかの選手よりも飛ばします。でも、彼は飛距離にこだわる傾向にあり、反動が大きいフォームになっていました。薮田には動作を小さくして、芯に当てる確率を高めなさいとアドバイスしたら、素直に受け入れてくれました」と動作のコンパクト化をアドバイス。薮田自身は「体が突っ込んでいたんで、右足でしっかりと体重を乗せて打つことを意識しました」と意識を改め、3本塁打を放った。

 また投手陣も意識が高く、新2年左腕・若杉 晟汰は中学時代から研究してきたリリース時の手首を立てる意識を硬式用にアジャストさせて、昨秋は先発として活躍。144キロ右腕・寺迫涼生は昨秋、ケガをしたことをきっかけに、左足を挙げた時に反り気味のフォームを修正し、ケガをしにくいフォームに改良させた。

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甲子園では4,5点で勝負できるチームに!

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ラントレーニングに取り組む明豊の選手たち

 センバツへ向けてこの冬、取り組んできたのがスケールアップだ。秋、高打率を残しても、川崎監督の目からは「数字ほどインパクトは感じなかった」と物足りなさを感じた。冬場は投手はスピードアップに取り組んできた。その成果は発揮しており、新3年生の大畑は2月の紅白戦で、常時130キロ後半を計測。狭間、寺迫、若杉も130キロ後半を計測しており、仕上がりは早く、また新たにメンバー変更でベンチ入りした吉開大輝も、コーチからの評判が高かった好左腕。取材日にはピッチング練習を行い、若杉に負けないぐらいの回転数が高いストレートを投げていた。

 川崎監督はここまでの選手の成長について、
 「体も少しずつ大きくなっていますし、そしてボールに対しての執念も出てきましたので、私たちが話したことは伝わっていると思いますし、ここまで順調に段階を踏んでいるかなと思います」と手ごたえを実感する。

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ピッチング練習をする大畑蓮(明豊)

 いよいよ本番も近づいてきた。
 「これまで継続的に取り組んだことを発揮すれば、大崩れしないチームだとおもいますし、4,5点勝負できるチームになっていきたい」

 その上で期待しているのは、新3年生の寺迫、大畑だ。
 「昨秋は新2年生の若杉が投げましたが、このセンバツでは寺迫、大畑の2人がどれだけ頑張られるかが問われる大会になると思います」

 2人も初の甲子園へ向けて気持ちが高まっている。 
「大観衆の中で投げることは初めての経験なのですが、自分は自分なりのピッチングをして強気に攻めていきたいと思います」(大畑)
「やはりピンチの場面では寺迫しかいないと呼ばれるような投手になりたいです」(寺迫)

 この冬の取り組みを横浜戦で発揮できるか。甲子園で大きなインパクトを与えるパフォーマンスを見せていきたい。

(文・河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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