第568回 山梨学院「心身を急成長させる長崎合宿はいかにして成り立つのか?」2019年02月10日

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【目次】
【山梨学院の練習の様子をギャラリーでチェック!】
[1]なぜ長崎合宿を敢行したのか?
[2]長崎合宿は「心のお守り」をもらう合宿

 3年連続で夏の甲子園出場。そして5年ぶりの選抜出場を果たした山梨学院。安定した強さを見せているが、強さはどこにあるのか?取材を進めていくと、精神面、戦術面などいろいろ突き詰めて指導した結果が現在の強さにつながっていることが分かる。今回は取材日でも話題になった長崎合宿の狙いについて迫っていきたい。

なぜ長崎合宿を敢行したのか?



笑顔でガッツポーズを見せてくれた山梨学院の選手とマネージャー

 吉田監督にとってこれで10度目の甲子園。吉田監督は高校野球の監督としてはいち早くトレーニングの重要性、打撃の重要性に気づき、清峰を強豪校に育て上げ、全国制覇に導いた方だろう。選抜出場の可能性が高いということもあり、取材日の練習でも投手が投げながら実戦形式の打撃練習を行っていたが、「夏に勝てる、戦い抜ける、強いチームを目指して、その土台作りという意味でトレーニングが大事という考えは変わりありません。でも今回は選抜が近いということで、打撃練習の割合は例年より多いです」と例年の冬よりも実戦練習の割合は多い。

 打撃練習の脇を見ると、丸太を持ち上げるトレーニング、腕立て伏せ、室内練習場を目に移すと、トレーニングをしている選手が見られる。そこにはトレーニングを大事にする姿勢が見て取れる。

 今回お伝えしたいのは山梨学院のトレーニング法ではなく、吉田監督は山梨学院の選手たちに自発的に、さらに意欲的に取り組めるためにいろいろ工夫していることだ。その1つとして12月末に行われる「長崎合宿」である。これは前チームの代から行われた。

 きっかけは2018年の高校野球の選手の勢力図にある。
 「2018年に関して、選手の質という点に関しては大阪桐蔭横浜東海大甲府の3校がトップでした。比較すると、うちはいろいろ不安がありましたし、実際に秋の決勝では甲府さんに負けていますので、何か思い切って改革しないと勝てないと思いました」

 県大会では3対14で敗退しており、そう思うのも当然である。そして2017年12月、初めてとなる長崎合宿を行った。その内容はハードそのもので、午前中はボールを使った練習をして、午後は長崎名物の古川岳と川地峠のどちらかを登る。目的はトレーニングというより、精神力の強化。多くの選手が口をそろえていうのは「1人だけではこなせない」というほどハードなもの。チームでメンタルの強さではナンバーワンという相沢 利俊でさえ「厳しいですね」と答えるほど。

 みんなで乗り越え、最後のメニューが終わったとき、全員で涙を流したという。達吉田監督は選手たちの姿の変化に驚いた。
 「トレーニングに対する取り組みが本当に変わったんですよね。目の色を変えて取り組むようになり選手のレベルが高まりました」

 特に顕著になって表れたのは3年生投手陣。最速146キロを計測した垣越 建伸だけではなく、プロ志望届を提出した星野 健太、右サイドの速球派・鈴木 博之、ベンチ外となった羽鳥祐希は全員が140キロ越えと驚異的な成長を見せた。またライバルの東海大甲府に対しても、春の決勝では6対4と勝利。吉田監督は「選手たちに訊くと、もう1回戦っても勝てるかなとそこまで精神的に余裕が持てて強くなったんだな」と選手たちの想像以上の心身の成長に驚いていた。

 そして夏の甲子園出場、そして関東大会ではベスト4入りを果たした。

【次のページ】 長崎合宿は「心のお守り」をもらう合宿

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山梨学院 【高校別データ】

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プロフィール

河嶋宗一
副編集長 河嶋 宗一
  • 出身地:千葉県
  • ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
  • ■ 副編集長、またドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
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