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忍耐、粘り、対応の3本の矢で茨城の夏を制する!藤代(茨城県)【後編】

2019.02.09

 前編では秋の茨城県大会準優勝の藤代が新チーム結成時から県大会までのプロセスを中心に菊地一郎監督にお話してもらった。後編では関東大会での収穫と課題、そして春への意気込みを伺った。

 丁寧に築き上げた藤代の城壁!戦いを通じて形になった硬いディフェンス【前編】

関東の強豪に通用した対応力

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ガッツポーズをしてくれた主将の藤井皓大選手

 関東大会までの期間をバッティング練習にあてた藤代。そこで、菊地一郎監督は「スイングの軌道を整えることにした」という。

 ホームベースの5つの角に番号を振って、右打者だったら内角のキャッチャー寄りの角を①にして、半時計回りで②から⑤と付けていく。そして、バットを振る時は①から⑤のすべての角を通るようにスイングした。「いわゆる金属打ちになりますが、このスイングができればヘッドが走りますし、体も開かずにボールを呼び込むことができるんです。インコースのボールに対しては①から、直接⑤へ向かってスイングする形になります」。

 そして、菊地監督が大切にしている打席での対応力を上げる練習も行った。
 「私はピッチャーほど当てにならないものはないと考えています。というのも、ピッチャーはケガをすることもありますし、病気をすることだってある。つまり、ピッチャーはあくまでも個人でしかないのでアクシデントに弱いんです。だったら、トータルベースボールでチームとして勝つことを目指した方が良いですし、そのためには攻撃面での確率を高めていくしかない。

 だから、選手たちにはいろんなスイングを練習させるんです。上から叩いたり、下から押し上げたり。反対方向を狙ったり、アウトコースのボールを巻き込んで打ったり。後ろを小さく、前を大きくさせたり、急にブレーキをかけるようにバットを途中で止めたり。こうして打席での引き出しを増やすことが試合中の対応力につながっていくことになり、様々なスイングを様々な投手に合わせて、はめていくことができる。守りは偶然に左右されますが、攻撃は準備ができるし必然にできるんです」

 効果はすぐに現れ、花咲徳栄(埼玉)との練習試合で2ケタ得点を記録。「例年は夏までにはできるようにするんですが、今年のチームは秋の段階である程度、対応できるようになっていたんです。これはベンチとのコミュニケーションが取れていないとできないのですが、やはり選手たちが一生懸命になって練習に付いてきてくれたからできたのだと思います。改めて『性格で野球はできるんだ』と感じました」

[page_break:秋の悔しさをバネに夏の頂点を狙う]

秋の悔しさをバネに夏の頂点を狙う

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打力アップで茨城の頂点を目指す!

 関東大会では初戦春日部共栄(埼玉)と対戦。常に相手に先行される苦しい展開も、その度に追いつく粘りを見せたが惜しくも6対7で敗れた。
 「バッティングは良かったのですが、秋季大会で初めて守備にミスが出てしまいました。3回表にバント処理で悪送球をしてしまい、その後は連打を浴びて4点を先制。同点の9回表には二死走者なしから内野ゴロを二塁手が握り直してヒットにしてしまうと四球で一二塁とされ、レフト前ヒットを外野手がジャッグル。決勝点を取られてしまいました。ただ、エラーは出てしまうものなので、それよりも『あと1点を取りきれなかった』という印象の方が強いですね」

 オフシーズンに入った藤代。1月中はこれまで通りの地味な基礎練習を反復する。「基礎練習ばかりだと選手の集中力が続かないので昨年などはずっと紅白戦をやっていたのですが、今年のチームは地味な練習をやり続けることができますから。やっぱりどんな練習も、基本の繰り返しにはかなわないところがあると思います」と菊地監督。

 藤井皓大主将は「昨秋はピッチャーの中山航小島拓也を中心に1点を防ぐ、粘っこい野球ができました。でも、攻撃面ではここぞという場面で1本が出なかったので、チャンスの場面こそ具体的に考えてヒットを作りにいけるようにしていきたい」と課題を挙げた。

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昨秋の常総学院との試合のスコア

 また、投手陣について、菊地監督は「中山と小島は体作りと、緩急を付けたピッチングに取り組ませたい。それから一條(遥翔)や石川(健人)も試合で投げられる実力を持っていて、関東大会後の練習試合では経験も積んでいるので、さらにスケールアップしてもらいたいですね」と話した。

 そして、最後に「今夏までには常総学院が頭一つ抜けてくると思いますが、バッティングの対応力を磨き、さらに粘りと忍耐といったメンタルを強みに戦っていきたい」と語った菊地監督。現在、藤代の練習グラウンドのスコアボードには昨秋の茨城大会決勝・常総学院戦のスコアがそのまま並べられているが、その屈辱を晴らすべく虎視眈々と茨城の頂点を狙う。

(文・大平 明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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