第539回 「選手主導練習」でつかんだ高みへの道程 富岡西【前編】2019年01月22日

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【目次】
[1]「選手主導」が散りばめられた練習
[2]「選手主導」への確かな道

 昨年は夏の徳島大会準決勝で鳴門を土俵際まで追い込み、新チームでも初の秋季四国大会ベスト4入り。3度目の21世紀枠四国地区選出校の座をつかみ取った県南屈指の進学校・徳島県立富岡西高等学校野球部。「野球の町あなん」を掲げる阿南市にいる彼らは、いかにして高みへの道程をつかんだのか?前後編の前編はその原動力となっているノーサイン野球を支える「選手主導練習」に迫った。

「選手主導」が散りばめられた練習



選手、マネージャー全員でガッツポーズをする富岡西

 冬空に早くも夕闇が迫る平日の16時過ぎ。徳島県立富岡西高等学校。ホッケー部、サッカー部、男子ソフトボール部とグラウンドを四分割したうち北西側を占める野球部スペースには次々と選手たちが集まり始めていた。

 練習前には当然、現役時代は同校OB・國學院大では左腕として東都大学リーグ2部で5勝6敗3ホームランをマークした2度目の監督就任9年目を迎える小川 浩監督からの訓示……と思いきや、小川監督はベンチ裏で選手たちを見守ったまま。そして選手たちは簡単な選手だけのミーティング後、すぐにアップ、キャッチボールとメニューに入っていった。しかも全く彼らの動きには迷い・よどみがない。その理由を探してみると、答えは三塁側ベンチにあった。

 練習メニューにメニュー時の注意点、班分け、チームでの役割分担が詳細に描かれたホワイトボード。その一番上には主将の坂本 賢哉(2年・右翼手)の横に「練習メニュー」の項目が左に付いた中西 陽(2年・捕手)の文字が。どうやら彼がこの練習形態を司るキーマンのようだ。では、聞いてみよう。「どうして、監督からの指示なしで練習が進んでいるの?」

 「練習メニューは僕が前日にメニューを考えて昼休みに監督さんのところへ持っていきます。秋の四国大会前もチームとして何が足りないのかを分析して『逆方向に打つ』という練習をしました」

 選手参画型の練習。そのメニュー内容には選手たちの意見も存分に反映される。肩を1回前に出してからのキャッチボールは「腕のしなり方を意識したアメリカのトレーニングを動画で見て」(坂本)2017年春から導入したものである。

 3人一組でバント処理と送球練習を同時に行う「BC連携」。捕手が打球方向を言って投げ、選手たちが呼応することでチームの一体感を引き出す「ノックを打たないノック」など、効率的かつ多彩なメニューを着々とこなす選手たちの理解度に目を丸くしていると、小川監督からこんな告白が加えられた。「実はウチ、試合ではサインを出していないんです」。

 その源流は3年前にさかのぼる。

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プロフィール

寺下友徳
寺下 友徳
  • 生年月日:1971年12月17日
  • 出身地:福井県生まれの東京都東村山市育ち
  • ■ 経歴
    國學院大學久我山高→亜細亜大。
    幼稚園、小学校では身長順で並ぶと常に一番後ろ。ただし、自他共に認める運動音痴から小学校入学時、早々に競技生活を断念。その後は大好きなスポーツに側面から関わることを志し、大学では応援指導部で4年間研鑽を積む。亜細亜大卒業後はファーストフード販売業に始まり、ビルメンテナンス営業からフリーターへと波乱万丈の人生を送っていたが、04年10月にサッカーを通じて知り合った編集者からのアドバイスをきっかけに晴れてフリーライター業に転進。07年2月からは埼玉県所沢市から愛媛県松山市へと居を移し、現在は四国地域を中心としたスポーツを追いかける日々を過ごす。
  • ■ 小学校2年時に福岡からやってきた西武ライオンズが野球と出会うきっかけ。小・中学校時代では暇さえあれば足を運んでいた西武球場で、高校では夏の西東京予選の応援で、そして大学では部活のフィールドだった神宮球場で様々な野球を体感。その経験が取材や原稿作成の際に「原体験」となって活きていることを今になってつくづく感じている。
  • ■ 執筆実績
    web上では『ベースボールドットコム』(高校野球ドットコム、社会人野球ドットコム、独立リーグドットコム)、書籍では『ホームラン』、『野球太郎』(いずれも廣済堂出版)、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)など。『甲子園だけが高校野球ではない2』(監修・岩崎夏海、廣済堂出版)でも6話分の取材・文を担当した。

    さらに野球以外でもサッカーでは、デイリースポーツ四国3県(香川・高知・愛媛)版・毎週木曜不定期連載中の『スポーツライター寺下友徳・愛媛一丸奮闘記』をはじめ、「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画社)、『サッカー批評』、web『スポーツナビ』など多数媒体での執筆実績あり。また、愛媛県を熱くするスポーツ雑誌『EPS(ehime photo sports)』でも取材協力を行っている。
  • ■ ブログ:『寺下友徳の「四国の国からこんにちは」』■twitterアカウント@t_terashita
    ■facebook: http://www.facebook.com/tomonori.terashita
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