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センバツ注目度NO.1!全国制覇へ向けての3つの課題 星稜(石川)【後編】

2019.01.29

 後編では星稜は全国制覇を果たすためにどこに課題があるのかを考えているのかに迫っていきたい。

【前編】センバツ注目度ナンバーワン・星稜(石川)「現状の実力を再認識した秋季大会」

全国制覇のキーマンは主将・山瀬。主将として求めていきたいこと

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主将・山瀬慎之助(星稜)

 チーム作りで大事なのは主将の存在。今年のチームの浮沈を握るのが主将の山瀬慎之助だ。林監督が「今まで見た中でも最も肩が強い」と言わしめた強肩捕手だが、実際に話してみると責任感も強く、モノはしっかりという。言動、プレー、態度の3拍子で引っ張る主将だ。ただ林監督は山瀬に主将を任せるには迷いがあった。

 「主将を任せるにあたって人間性は申し分ない選手。ただ将来もある選手ですし、主将をやることでいろいろ犠牲を伴いますので、彼の能力を伸ばしてあげたいので、任せるか迷いましたが、チームで一番練習する選手なので、彼に引っ張られる形で、選手も変わっていければと思い主将に決めました」

 この山瀬は秋の振り返りを見てもとにかく厳しく、現状のチームについても厳しく見ており、求めるものは非常に高い。林監督もそこが良いところでもあり、課題にもなるとみている。

 「(理想が)高いです。私自身も求めているところは高いので、その目標を実現するためには、彼の目線ではもっともっとやらなければいけないという部分を選手たちに伝えていると思うんです。

 それが本当にマッチングした時はウチのチームは強くなると思うんですが、なかなかキャプテンの思想や考えに追いついていない選手がまだまだいるので、そこがチームとしての課題です。難しいところではありますが、自分の理想ばかりを求めて選手一人一人の個性が潰れてしまうので中立の立場に立ってまとめることも必要です。理想とか自分の考えがうまくいかない時にどうするかというのが、上に立つ人間の務めです」

 林監督は1年間試行錯誤しながら、チームをまとめていくことが大事だと考えている。主将・山瀬が高い要求をしながらもチームメイトに寄り添って接することができるか。そして選手たちは高いレベルに到達するために日々努力することが大切となる。

[page_break:奥川以外の投手陣をどれだけ伸びるか?]

奥川以外の投手陣がどれだけ伸びるか?

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最速138キロ右腕・荻原 吟哉(星稜)

 来る選抜へ向けて課題は多い。まずは投手陣。神宮大会決勝で投げた最速138キロ右腕・荻原 吟哉、左腕の寺沢 孝多、1年生ながら140キロを超える大型右腕・寺西 成騎と好投手は多い。

 山瀬は「この3人が伸びてほしいですね。全国制覇するにはこの3人の成長がとても重要だと考えています」と期待し、林監督も「連戦になればどうしても奥川一人ということでは、何が起こるかわかりませんので、やはり二番手以降の層の厚さが大事になってくると思います。また公式戦を経験するのが一番本人の自信になり、成長曲線がグンと上がるひとつのバロメータにもなるので、そういう経験はさせたいと思います」と、選抜の舞台でどういう舞台で経験を積ませることができるか。起用法はこれから見出していくという。

打線は強力打線へ変貌した前チームのような成長を求めたい

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ティーバッティングをする選手

 また打線も課題に置いており、「実力は全国でいえばBクラス、Cクラス。打線の強化は最重要課題だと思います。誰ではなく、クリーンナップも含めて全体のレベルアップが必要です」と、室内練習場ではマスコットバットを振ったティーバッティングや、体の使い方を意識するためにボールを真上から叩きつけるティーバッティングをしたりと、様々なティーバッティングに取り組んで打撃強化を行っている。林監督が求めるのは前チームのような成長だ。林監督曰く「監督8年間で下から1,2番目に入るチームでしたが、もっとも伸びたチームです」。

 前チームは秋の公式戦こそ本塁打無しだったが、夏の石川大会決勝戦で史上最多の7本塁打、22得点の記録を残し、強打のチームを印象付けたが、スタート直後、打力が弱いチームだったとは信じられない。林監督は昨年の世代について取り組みが良いチームと評価しており、日ごろの取り組みが夏になって結実したとみている。

 林監督が望むのはもちろん前チームの先輩に続く爆発力である。それは並大抵のことではない。夏に爆発できたのは3月~6月の公式戦・練習試合を通して、ボールの見極め、狙い球を絞り、実戦につなげることができたからだ。しかし選抜ではじっくり取り組む時間はない。

 「5月6月にしかできないことをこの冬やれるかというのは未知数なんですが、でも高い目標を持ってやっていこうと思っています」

 高い目標を目指す。山瀬が目指すのは「2018年の大阪桐蔭」だ。「10回やって10回全国制覇できるぐらいのチームにしたいです。だからそういう細かいところをやっていかないと。技術的にも、精神的にも成熟したチームを目指していきたいと思います」

 1日1日を無駄に過ごすことなく、隙をなくし、どんな強豪校がきても最強のチームへ成長を遂げ、かつての先輩たちが成し遂げることができなかった石川県勢初の優勝を狙う。

(文・河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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