目次

[1]「「SSH指定校」の強みを活かしての研究発表
[2]「体重を後ろに残さない」打撃とは?

 中国大会決勝から約1ヶ月後の2018年12月1日。「第6回日本野球科学研究会」の会場となった筑波大学のキャンパスに、中国大会で決勝進出を果たした米子東の選手たちの姿があった。
 参加者が日頃取り組んでいる研究の成果を披露する「ポスター発表」に挑み、「ゴロ打ちは正しいのか」、「表情や姿勢および言動とパフォーマンスとの関係性について」の2つのテーマで考察結果を発表した。

 6回目の開催を迎えた日本野球科学研究会では初となる高校生の発表は、特別新人賞を受賞。理論に基づいた研究と、中国大会で4試合合計23得点を記録した打撃。そこの繋がり、野球の練習に止まらない米子東の取り組みに迫るため、グラウンドへと足を運んだ。

「SSH指定校」の強みを活かしての研究発表



仲間たちにノックを打ち、時には厳しい声をかける

 2017年度から文科省の定める「SSH(スーパーサイエンスハイスクール)」の指定を受けている米子東。SSH指定校で実施されている、生徒自身で研究テーマを定めて学習する「探求授業」内で野球部が冒頭で紹介した2つのテーマを研究。かねてから日本野球科学研究会に足を運んでいた紙本庸由監督の発案で、同研究会での発表を行うこととなった。

 「コーチのひとりが個人的に野球科学研究会に参加していたことで研究会の存在を知りました。私自身も実際に足を運んだことで、『この雰囲気を選手たちが味わったり、大勢の参加者の前での発表を経験したら大きく成長できるんではないか』と思ったんです。米子東の場合、SSHに指定いただいているので、授業の一貫として野球を研究することができる。この恵まれた状況で、やらない手はないと」

 研究内容だけでなく、ポスターのレイアウトなども選手たち自身で考え抜き、何とか完成にこぎ着けた。発表当日の会場には指導者、野球を専門に扱う研究者など、広い見識を持つ参加者が多く集まり、時には鋭い質問が投げかけられた。しかしながら、選手たちはたじろぐことなく、真摯に回答を述べており、その姿からは実年齢以上に成熟した印象を受けた。

打撃指導における「ゴロ打ち」は正しいのか?



特製の置きティーを使って練習中

 米子東の選手たちが考察した「ゴロ打ちは正しいのか」というテーマ。MLBを中心に広がった「フライボール革命」の影響もあり、昨今の野球界では盛んに議論されているトピックスのひとつだ。研究発表では、打撃結果などの各種データに基づき「ゴロ打ちは正しいとは言えない」という結論を導き出していたが、紙本監督の考えはどうなのか。

 「チームとして所謂『フライボール革命』と呼べる取り組みはしていませんが、『ゴロを打とう』、『叩きつけよう』といった意識は持たせないようにしています。その意識が強すぎると、上から切るようなスイングが染み着き、理想的なスイング軌道を身につける妨げとなりますし、戦術を考える上でもマイナスになると思っています」

 古くから野球界に伝わる「上から叩く」とは一線を博す理想のスイング。そのスイングを身につけ、実戦で結果を残すための取り組みについて紙本監督、打撃指導を担当する田中雄大コーチに伺った。

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