歴代最多の5度目の選抜優勝を目指せ!東邦(愛知)が取り組むべき課題【後編】
第91回選抜高等学校野球大会の出場校が決まった。今回注目されているのが30回目の出場を果たした東邦(愛知)である。東邦は過去最多タイの4回の優勝、51勝は歴代2位と輝かしい実績を残している。単独最多の5度目の優勝を目指し、どんな課題を置いて取り組みをしているのか。
監督不在期間でもモチベーション高く練習に取り組みレベルアップ!
実力不足を感じた神宮大会での東邦
神宮大会では八戸学院光星と対戦。試合は後半に突き放され、初戦敗退。東邦の森田監督は「神宮大会では勝てない」ということを伝えており、初戦敗退は想定内だった。
「まだ実力が足りないと感じる試合でして、変に満足するより、自分たちの実力不足を再認識する意味でもよい試合だったと思います」と森田監督は逆に良い試合だったと振り返る。
主将の石川も「神宮で初戦で負けて、東海で優勝する力はあっても全国では到底勝てるような力は無いなというのは感じたので、みんなもそう思ったと思います。[stadium]甲子園[/stadium]で勝つために、今やってます」と話す。
12月は強化練習期間。ノック、ティーバッティング、トレーニングと内容はハードだが、選手たちは集中して取り組む。また、高いモチベーションで臨めるよう、練習中は音楽を流す。選曲はマネージャー、選手たちの好みの曲を流しているという。選手たちは笑顔を見せながらも緩んでいる様子はない。歯を食いしばって取り組み石川は「良い雰囲気で取り組むことができています」と笑顔を見せる。
ちなみに森田監督は年末、体調を崩し、練習が見られない期間が続いた。年末は監督不在の中でのトレーニング期間となった。森田監督は「選手たちを見ていたコーチからは『しっかりと練習をしていて、成長した姿を監督に見せることができると思います』と答えていたので私自身も楽しみです」と期待している。
エース奪取に燃える左腕・植田の成長がカギ
森田監督がキーマンに挙げる植田結喜(東邦)
さて、東邦は歴代最多の選抜5度目の優勝を狙っている。そのための課題は投手強化だ。選手、森田監督がキーマンとして期待しているのが左腕・植田結喜だ。中学時代はキャプテンの石川昂弥とともにNOMOジャパンに選ばれた左腕だ。最速142キロを投げ込む速球派だが、秋は思うような実力を発揮できずに終わった。植田が主戦として活躍してほしい思いはチーム共通の願いだ。
「石川が投げると、今年のチーム上、サードが弱くなってしまう。だから植田が投げられると石川は打撃に専念できているので、右サイドの奥田もいますが、一本立ちしてほしいです」と森田監督と答えれば、石川も「投手をやっている時とサードをやっている時では打撃の結果が違いますし、植田には頑張ってほしい思いがあります」とチームメイトの成長を期待している。もちろん植田が狙うはエース奪取だ。
「エースとして投げたい気持ちはありますし、リベンジしたい思いです」
元プロだった木下達生コーチから技術的な指導を受けながら、ピッチング練習に励んでいる。
「下半身の体重移動が課題なので、そこを直して、キレのあるストレートを投げていきたい」
石川が投打の中心選手として動いてきたが、石川はあくまでいちスラッガー、いち主将として活躍できることが全国制覇のカギとなる。
そして植田だけではなく、投手、野手の全体の底上げが課題となっている東邦。最多優勝へ向けて盤石な戦力を作り上げ、甲子園に乗り込んでいく。
(文・河嶋宗一)