目次

[1]成功体験にこだわらない柔軟さ
[2]中学生の指導経験がベースになっている

 中部商糸満とタイプの違う2校を甲子園に導いた名将・上原 忠が沖縄水産の監督になって丸2年。現2年生からは入学当初から上原監督の指導を受けているので、純粋な上原体制の沖縄水産はこの秋が船出と言って良いだろう。

 その沖縄水産は秋の大会で、興南沖縄尚学を破り沖縄の頂点に立った。新生・沖縄水産に迫ってみたい。

成功体験にこだわらない柔軟さ


 「(チームは)子どもたちの価値観や保護者たちの望んでいることとか、学校でのこの子たちの立ち位置とかを見て作っていかないといけないので、いつも『こうだ』というのがないです。選手と一緒に毎日毎日やりながら、こういう考えなんだとか、このぐらいまで欲求が高いんだとかを見ながら、一緒に(チームを)作っていきます」

 この言葉に、上原監督の考える指導論の全てが詰まっている。赴任した高校全てを甲子園に連れて行っている名将。その強みは柔軟さにあると言っても過言でないだろう。

 中部商糸満と甲子園に連れて行っているが、そのやり方を、沖縄水産に押し付けることは毛頭考えていない。むしろ、沖縄水産野球を手探りで感じながら、作り上げていっている。それこそが、上原監督の最大の強みだろう。

 部員数は2学年で約80名の大所帯。グランド施設も、以前上原監督が指導していた糸満のようにグランドが使えない環境とは180度違い、学校の敷地内に野球場が2球場ある。まったく状況が違えば、アプローチも変わってくる。そう考えてみれば、納得ではある。

 とはいえ、過去に大きな成功を収めた人が、簡単にその成功体験から脱することが出来るだろうか?非常に難しいはずだ。しかしそれが出来てしまうのが名将たる所以だろう。

 上原監督の成功体験に縛られない、柔軟な考えはどんな経験から作られているのだろうか?