第525回 紙一重を極めた先に待つ聖地! 橿原学院(奈良)【前編】2018年12月23日

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【目次】
[1]選手のやる気を引き出す
[2]成功と失敗なんて紙一重で決まるもの
[3]強豪校との戦いに必要なフィジカルとメンタル

 「ART GALLERY」
 閑静な街並みを歩いていくと、こう記されている建物があった。きっと美術関連の職場なのだろう、と想像をしてしまうが、その前には「KASHIHARA GAKUIN」と明記されている。

 今回訪問した橿原学院は美術科のコースがあるほど美術教育に力を入れているが、野球部も今夏の奈良大会でベスト4に進出。天理智辯学園といった全国クラスの学校が奈良県内でしのぎを削る中、去年の春・夏ともにベスト8、2016年の秋には県大会3位の成績を残すなど橿原学院の実力は県内でも有数である。

 聖地・甲子園まであと一歩と迫っている橿原学院とはいったいどんなチームなのか。練習の様子を覗いてみた。

選手のやる気を引き出す



谷車 竜矢 監督

 「甲子園に出場して、自分がホームランを打ったり、抑えたりしたらどう?ワクワクするでしょ」
 取材日の朝、橿原学院の谷車竜矢監督がミーティングの際、選手たちに向けて話した内容である。

 この一言を聞いた時、あの大歓声の中でプレーしていることを想像させられた。そのイメージだけで選手ではない筆者もワクワクしてしまった。このワクワクを作ることが谷車監督の狙いである。

 橿原学院野球部を率いる谷車監督は高校時代、同じ奈良の名門・智辯学園のキャッチャーとしてプレー。1つ上には元東北楽天ゴールデンイーグルスの枡田 慎太郎がいた。

 その後は大阪体育大に進学し、卒業後は公立中学で4年間軟式野球の務めたが、かねてから「監督として甲子園に行く」という目標を持っていた谷車監督のもとに、橿原学院から誘いがあり、高校野球の道へ。
 そしてコーチ、部長という形で選手たちに指導を続け、2017年に監督に就任して現在に至る。

 2017年は春、夏ともに大会ベスト8、今年に至っては春と夏ともにベスト4進出。就任してから確実に結果を残し続ける谷車監督が、最初に取り組んだのが意識付けだった。

 「真面目な選手が多い」と谷車監督が語るように、取材日の練習を見ているとひたむきにメニューに取り組んでいる選手たちが多かった。真面目な選手が多い分、その気にさせれば練習により集中して取り組んでいく、と谷車監督は考えている。

 真面目ということは自分から進んでやるというよりも、与えられたことをコツコツ取り組める性格。一方、やんちゃな性格の人であればエネルギッシュに溢れており、色んなことをどんどんやっていく。真面目な選手はそうした部分から、自分から進んでやる気持ちが弱い。

 しかし、「スイッチを入れてやれれば突き進むことができるのが、真面目な選手の武器。」と話すように、スイッチが入れば高い集中力を発揮できる。
 だからこそ、やる気を出させることが監督の仕事である。そして、刺激を与えてスイッチを入れたり、意識付けをさせたりするのが、勝利のためには大事なピースなのである。

 では谷車監督は練習中どんな立ち振る舞いをしているのか。様子を見ていると、笑顔を見せる瞬間が何度かあった。その顔を見て選手も楽しそうに練習に取り組んでいた。
 「高校野球が好きだ」と語っていたので、純粋に練習を楽しんでいたのかもしれないが、自ら積極的に楽しそうにやることでチーム全体の雰囲気を良くし、選手たちのスイッチを入れているように見えた。

 だが、選手たちのモチベーションを大事にしているのは、ただ楽しくプレイするためだけではなく、選手たちが自分たちで考えて練習をやるための仕掛けでもあった。

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