目次

[1]悩み、学び、考える新潟の長い冬
[2]野手の柱として期待する先川大智


 前回、「日本文理野球」の考え方について、監督の話を中心にまとめてきたが、今回は昨秋の北信越大会、そしてそのあとに待っている“新潟の長い冬”をどう過ごしたのか。そしてその先の目標について話を聞いた。

悩み、学び、考える新潟の長い冬 



室内練習場での様子

 新潟県覇者として臨んだ秋の北信越大会。ベスト4に進出すると春の選抜大会出場も見えてくる中、初戦でプロ注目の投手で打の中心でもある鈴木 裕太が走塁中のアクシデントでケガ。その試合に勝ったものの、準々決勝で優勝した日本航空石川に敗れ、ベスト8と苦杯を嘗めた。、

 「うちと福井工大福井高岡商日本航空石川という昨年のベスト4が、2回戦までに当たる厳しい組み合わせ。実際、1回戦で裕太(鈴木)のケガがあったわけだけど、それをチームで乗り越えなきゃいけなかったんです。でもカバーできなかった。『新谷と裕太におんぶにだっことこういうことになるよ』って心配してきたことが起こってしまった。
 最終的に優勝した日本航空石川に負けたわけですが、本当に強かったですね。強みは7点取られるピッチャーでも、14点取れる打線。県大会で投げてた主力投手とは違う投手が出てきて、高岡商に勝っちゃうっていう。こういう主力じゃない、伏兵的な戦力がひょこっと出てくる。そりゃ強いですよ」

 北信越大会で新チームが喫した公式戦初めての敗戦。春の選抜大会出場を掲げていたチームにとって、その目標を失う大きな出来事だったという。

 「北信越で負けて選抜大会出場の可能性が断たれた中で、どう夏に照準を合わせて練習をしていくのか。考えれば考えるほど、練習がグダグダになり、どうやったらチームをまとめられるのか分からなくなってしまった」(坂井主将)

 敗戦直後、チームは一時ピリつき、主将の坂井元気(新3年)は監督から激しく注意を受けたというが、この厳しさは期待の裏返しとも言えるだろう。14年、甲子園ベスト4の時に飯塚 悟史(現・横浜ベイスターズ)とバッテリーを組んでいた鎌倉 航(現・法政大)を、彼らが高校野球を引退した後、大井前監督はこう評したことを思い出した。「鎌倉はね、副キャプテンになってすごく成長した。以前はね、もっと自分本位だったんだよ。それが責任感が出たのかな?副キャプテンになって周りが見えるようになった」(2015年インタビュー時談)
 キャプテンという立場が、それに似合う人格を形成していく。悩み、学び、考え、人間として成長するために、いろいろな問題に真正面から取り組み、精神的にも大きくなる“新潟の長い冬”。日本文理が強くなるためにはこの時間さえも必然的な時間だったのではないだろうか?

 もちろん、精神面だけではない。野球の技術面では、あくまで実践を想定しながらも、この時期にやっておくべき基礎を徹底して厳しく取り組んでいるという。この日の練習でもネットスローや、挟殺プレーの練習、さらに下半身(主にふともも)強化のためのメニューなどのメニューを地道に室内練習場で行った。

 「基礎的なものをかっこつけずにやるのが、冬の時期に必要なこと。基礎もできていないのに応用はできない、と監督も毎日おっしゃっているので。チームとしての目標を掲げながら、毎日班に分かれて、班ごとに目標を設定して練習に取り組んでいます。目標も何も持たずにやる練習こそ、無意味だと思うので。秋の大会では、県内随一の投手力に頼りきりになってしまったので、この冬というのは野手が頑張って、点を取る野球の仕方をしっかり身につけなければいけない。打つことはもちろん、しっかり走れる。その中で相手より1点を多くどうとれるか。それが野手の課題だと思います」(坂井主将)

 「冬はチーム力の底上げはもちろん、基盤をしっかり作っています。新チーム以降、急ピッチにチーム作りを進めてきて公式戦に臨んできたから。ただ今の練習の中にも実戦的な感覚は常に意識してほしい。現実選抜大会には出ないわけだけど、選抜大会に出たつもりで戦って(練習して)いこう、と。今の状態で大阪桐蔭明徳義塾に勝てるか?勝つことを想定して(練習に)取り組んでいこうよっていう。だから神宮大会の映像を見せたり。同級生にいいピッチャーがいるんだからそこをしっかり意識する。新入生が入ればまた立場も変わってくるだろうし、秋のメンバーじゃないやつらが、どう今を取り組んでいるか。そういう意味では、面白い冬になっていますよ(笑)。
 うちは新谷と裕太という軸はしっかりしている。だからそれを支える“支柱”となる選手がどれだけ出てくるか。待っていても出てくるか分からないから、どう育て行くか。そこがこの冬の大きな課題かな」

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