目次
菰野(三重)「芯の強いチーム」として10年ぶり夏甲子園へ

[1]ショッキングな秋を糧に「伝統の」体力強化へ
[2]「何事にも逃げない」メンタルを備えるために
[3]メンタルの向上に技術加え、10年ぶりの夏甲子園へ走る

 三重県北部の鈴鹿山脈を望む三重郡菰野町にある三重県立菰野高等学校。1957年に創部された野球部は、1987年に現在も監督を務める戸田 直光監督就任から一気に力を付け、2005年夏をはじめ2008年夏・2013年春と計3回の甲子園出場を果たし、この夏も三重大会ベスト4と毎年優勝争いに顔を出す強豪校だ。

 では、NPB通算64勝の西 勇輝(オリックス)、辻 東倫(巨人)など育成枠を含め6人のプロ野球選手も輩出している菰野は今、就任30年目となる戸田監督の下で夏への青写真をどのように描いているのだろうか?

ショッキングな秋を糧に「伝統の」体力強化へ


 「センバツを狙えるものだと思っていましたから、三重県大会準々決勝の敗退は久しぶりにショックを受けました」と昨秋を振り返るのは戸田監督。エース・田中 法彦(2年)をはじめとする層の厚い投手陣があったからこそ、口惜しさは今も心に残っている。

 田中は最速150キロのストレートに加え、切れのよいスライダー、県大会前に習得したスプリットを投げ「まだ細かな制球力は西にかなわないですが、完成度はだんだん近づいている」と指揮官も高く評価。夏は強豪校との練習試合でも最少失点に抑え、打線も力強く負けることも少なかった。

 さらに田中以外にも広島育成枠1位指名を受けた岡林 飛翔の弟で、最速145キロ右腕の岡林 勇希(1年)、最速140キロを計測する河内 頼(2年)も控え「甲子園出場したチームと比べても負けていない」と指揮官も手ごたえの中で菰野は秋を迎えた。

 しかし、県大会2回戦では昨夏の三重大会覇者・津田学園にコールド勝ちし、勢いを持って臨んだ準々決勝では三重相手に1対3。失点内容もエラーが絡んでの敗退を喫した。責任投手となった田中も「三重高校さんが東海大会ベスト4にいったからこそなおさら悔しいですね」と当時を振り返る。

 とはいえ、時は戻ってはくれない。気持ちを切り替え、次のステップへと進んでいる。冬に取り組んでいるのは「シーズンに入ってからの夏へ向けての準備は逆算をして取り組みは行っていますので、このレールに乗っていけば、甲子園を狙えるチームはつくることができます」と、戸田監督が2005年から取り組む「計画性を持ったトレーニング」について語る。

 1日800グラム~900グラムのご飯やチーム付きの栄養士から提供される強化食を年間通じて行う身体づくりに加え、11月は持久力を中心としたトレーニング。12月は敏捷性を中心としたトレーニング。1月・2月は瞬発系・パワー系と負荷がかかるトレーニングに入っていく。

 このトレーニング順序について戸田監督はこう意図を語る。

 「なぜ持久力を11月にやるかというと、この時期に心肺機能。持久力を高めておくと、瞬発系のトレーニングに繰り返し耐えられる体力が身につくからです。

 なんでもパワー、パワーといって、むやみにパワー系のトレーニングをやったら壊れます。まず持久力でへばらない体力をつけた後に、細かい動きが要求される俊敏性トレーニングを積み重ね、最後にジャンプ系、パワー系のトレーニングに入れば、壊れれない体づくりができます」

 そしてシーズンに入ってもトレーニングは欠かさない。持久力・パワー系・敏捷性のトレーニングはサイクルを短くして行われる。たとえば最も負荷がかかるパワー系は水曜日に行い、試合前の金曜日は敏捷性のトレーニングを行い、身体のキレを鍛える。

 オリックス・バファローズのエース格・西 勇輝、読売ジャイアンツの成長株・辻 東倫。そして昨年、広島東洋カープから育成ドラフト指名を受けた岡林 飛翔らも、このトレーニング計画をもって育ってきた。

 「トレーニングで一番しんどいのが、最後に入るんですけど、そこに逃げずに取り組むことが試合後半の戦い方にもつながるところがあるので、逃げずに取り組んでます」。主将・3番の橋本 海(2年)をはじめ選手たちも、その意図は理解済だ。

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